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Cocktail - 技法編(1)

Posted by 倖成卓志 on 26.2006 悠久のカクテル 0 comments 0 trackback
 技法編(1)です。これまでに、カクテルを飲む理由(第1回)、簡単なロング・ドリンク(第2回)、ちょっと気取ったショート・ドリンク(第3回)と紹介してきて、さんざん無視してきた技法について書いてみようと思います。

 技法を無視してきた理由は、カクテルブックの構成にも難があるわけで。一番最初にロングとショートの違いだの、ステアやシェークだのときて、シェーカーの振り方とか、メジャーカップでの計量だとかを見ていったら「カクテルってこんなにいっぱい、覚えることがあるのか」と思っても仕方ないわけですよ。バーテンダーさんになりたい人や、自分でカクテルを作りたい人にはうってつけでも。
 でもって、逆に最後のページに解説が載っている本ですと、カクテルの名前と写真はともかく、レシピの意味が分かりにくい。でも初心者にはこの方がいいと思います。「あ、こんなの飲んでみたい」というのが大事じゃなかな、と。ですから私も、今までショートとロングという単純な分け方を書いた程度で、「特に覚えなくていいです」などと一見すると、凄くいい加減なことを書いてきたのです。

 まず、ショートとロングのおさらい。
 Short Drinks 【ショートドリンク】 というのは、ほんの2~3口程度で飲んでしまえるもので、基本的にはカクテルグラスを使います。
カクテル・茶色

 一方、Long Drinks 【ロング・ドリンク】 とは、じっくりと時間をかけて飲むもので、基本的にはタンブラーなどを使います。
Long_White.jpg

 あとは、ロックグラスやシャンパングラスなどがありますが、グラスについては、
 http://myuma.lolipop.jp/glass.htm
 を参照していただくと分かりやすいかも知れませんね。


Shaker.jpg

 これが「シェーカー」です。ちょっと薄暗いバーでバーテンダーさんがシェーカーを小気味良く振り、グラスへ静かに注がれたカクテルをじっくりと味わう・・・そんな雰囲気がステキですね。
 シェーカーを使うのが Shake 【シェーク】」>という技法です。材料と氷を入れ、腕を前後に振って中身をかき混ぜます。振り方のコツなどがありますが、それは後々。なぜこれを使うかというと、主にショート・ドリンクで行われる技法なのですが、
①混ざりにくいものを混ぜる
 たとえば、お湯に紅茶のティーバッグを入れると、徐々に茶色に染まっていきますよね。あれは混ざりやすい(というか溶けやすい条件になった)からです。ところが酒というのは、特に混ぜる種類が増えるとそれぞれ分子の大きさが異なるので非常に混ざりにくい。さらに卵白や生クリームを使うカクテルになると、もっと混ざりにくいのです。

②キリキリに冷やす
 私も人前でカクテルを作ることがあるのですが、こんなことを言われたことがあります。「ドラマとかで見るのよりも、振るのが早いね」。ドラマなどでもしっかりと演技指導がされていて、振り方は間違ってはいないのですが、シェークは見栄えも大切ですが、何よりも「一気に冷やす」ことが大事なのです。私の場合、冷やすというより「凍らせる」イメージです。なので、グラスに注ぎ終えたシェーカーは凍ったように冷たくて、手もものすごく冷たくなります。バーテンダーさんが、シェーカーを振る前にシェーカーと手を布巾で拭うのを見たことがある方もおられるかも。水滴が付いていると、振り終えた後に手がシェーカーにくっついてしまうことがあるのです(私も一度、経験しました)。

③和らげる
 ウィスキーでもスピリッツでも構いませんが、ストレートで飲んで「うわっ、キツい。喉が痛い。飲めない」と感じたことはありませんか? 私はあります。酒は刺激が強くて、トゲトゲしているものなのです。氷を転がすとだんだん丸みを帯びてくるように、シェークすると酒も丸みを帯びてくるのです。キツさが解消されて、豊かな香りだけが残るのです。この逆をいくのがStir 【ステア】 です。

 Stir 【ステア】 とは、「動かす」とか「かき混ぜる」という意味です。ミキシング・グラスに入れて、バー・スプーンでかき混ぜるのですが、酒の比重にあまり差がない場合に使われます・・・と言っても初心者には伝わりづらいですね。
 たとえば、ウィスキーをベースとしたカクテルでは、ほぼ間違いなくステアです。なぜなら、ウィスキーをシェークすると味が乱れてしまうからです。完成度が高いから、と言ってもいいでしょう。わざわざ味わいを殺す必要はないわけです。
 シェークの③で、「キツさを解消する」と書きましたね。

Gimlet
基酒:Gin 【ジン】
技法:シェーク
度数:30度
レシピ
Dry - Gin 【ドライ・ジン】 3/4
Lime - Juice 【ライム・ジュース】 1/4

Gibson
基酒:Gin 【ジン】
技法:ステア
度数:36度
レシピ
Dry - Gin 【ドライ・ジン】 3/4
Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 1/4

 共にジン・ベースなのですが、 Gimlet 【ギムレット】 はシェーク。 Gibson 【ギブソン】 はステアです。前者は鋭いながらも柔らかさを兼ね備えた喉越し。一方で後者は、キレの強さを楽しむものです。そう、あえて「キツさを解消しないで、その酒の個性を楽しむ」のも、ステアの特徴なのです。

 Build 【ビルド】は、「積み上げる」という意味です。ステアと似ていますが、ステアが15回ほどかき混ぜるのに対して、1回しかかき混ぜません。
レモネード

 ハイボール(酒の炭酸割り)など、かき混ぜすぎるを気泡が抜けてしまうもの。あるいは、完成度の高いお酒同士を合わせるときなど、かき混ぜすぎると味が壊れてしまうものに使われます。

 他にはミキサーを使ったフローズンスタイルのカクテルなどもあります、フローズン系は夏場の飲み物なので夏寸前にでも紹介したいですね。


 ついでに、Mesure Cups【メジャー・カップ】も。
MesureCup.jpg

 ↑これですね。小さいほうが30ml、大きいほうが45mlです。ショート・ドリンクの場合は、60mlで計算しますから、「1/2」とあれば小さいほうで満杯。「1/4」とあれば15mlですので、小さいほうの半分か、大きいほうの1/3という具合です。


 ところで、ショート・ドリンクは基本的に60mlです。カクテル・グラスはその形状によって誤差がありますが、容量はおおむね90mlです。
 シェーカーを振ると、当然中の氷も溶けます。この溶ける氷の分が10mlと計算するのです。するとグラスの80%までカクテルで占めることになります。

 さて、ここで問題。
 どうみても90mlのカクテル・グラスに、カクテルがなみなみと注がれて、今にも溢れそうです。美味しいと思いますか?
 答え:一概には言えませんが、氷が解けて水っぽくなってしまい、あまり美味しくありません。実は素人が陥りやすいワナがこれです。あまりに気取ってシェーカーを振りすぎると、氷が解けてしまうのです。
 ただし、一流のバーデンダーさんが使うグラスはもう少し容積の少ない場合が多く、ちょうど溢れる寸前(といっても90%とかの領域です。ぎりぎり溢れそうですと持ち上げられませんよね?)になるよう計算された場合もあるので、一概には言えないということです。
 これが、シェークの項目で「振るのが早い」理由でもあるのです。一気に「凍らせるように」振らないと、水っぽくて飲めない。ですから、ちょっと路地の裏手にある隠れ家的な、一杯飲み屋な感じのお店で、カクテルも少しならありますよという程度のお店ですと、メニューには載っていないシェークのカクテルを頼むと「ステアなら出来ますが、私はシェーカーを振れませんので」と断られる場合があります。
 不親切でも不真面目でもなくて、「出来ないものは出来ない」。それだけですので、怒らないであげてください。


 技法の細かい部分まで踏み込むと、本当に大変なので、今回はこのあたりで。
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Cocktail - 第3回 Side-Car & Variations

Posted by 倖成卓志 on 17.2006 悠久のカクテル 0 comments 0 trackback
 第3回目は、お待たせしました、
Side - Car 【サイド・カー】

 とそのヴァリエーションです。

 私の、カクテルのスタート地点はここです。で、 Bloody - Mary 【ブラッディ・メアリ】 (第2回)なんてのはろくに酒も飲めないアマチャンのためのものなんて思ってましたね。今思えば、勘違いもはなはだしい。若気の至りというやつでしょうか。
 はっきり言って、これは強力です。
 何しろ、それまでの私は「ビールを中瓶で11本飲んでも平気」なほど、異常に酒の強い人間だったのです。昼間は喫茶店で夜はバーというお店の、昼の部でバイトをしていたのですが、夜のバーに客として行ったときに勧められたのがこれと、そして後で登場する X.Y.Z. 【エックス・ワイ・ズィ】です。初めて思いっきり酔いました。


カクテル・茶色


Side - Car 【サイド・カー】

基酒:Brandy 【ブランデー】
技法:シェーク
度数:26度
レシピ
Brandy 【ブランデー】 1/2
Cointreau 【コアントロー】 1/4
Lemon - Juice 【レモン・ジュース】 1/4
 
 名前の由来ですが、これがあまりにも多いのです。まず、サイド・カーとは、バイクの横につける小さな四輪者のことです。で、第一次世界大戦の頃、視察などのためにこれに将校が乗っていました(もちろん今でも存在していますが)。
 で、フランスの軍人がこのサイド・カーに乗りながら作ったとか、いやいやそれはドイツの軍人だとか、実はバーで酒を飲んでいた軍人が急いで戻らなければならなくなってブランデーだけでは一気には飲みきれないのでにキュラソーとレモンを混ぜたとか、パリにあるハリーズ・バーの名バーテンダーであるハリー・マッケルホーン氏が作ったとか、とにかくエピソードが豊富。

 Side - Car 【サイド・カー】 を注文するうえでの注意点。ベースはブランデーとなっているので、どんなブランデーでも大丈夫なのですが、少し値の張るバーなどでは Courvoisier VSOP 【クルヴォワジェ VSOP】 や同メーカーの Courvoisier VSOP Rouge 【クルヴォワジェ VSOP ルージュ】 などを使っている場合が多いようです。その場合、他のカクテルより高い値段を設定してある場合も多々ありますので、メニューでしっかりとご確認のほどを。

 ところで、 Cointreau 【コワントロー】 の説明を。
 これは White - Curaçao 【ホワイト・キュラソー】 です。キュラソーというのはオレンジの果皮を使ったリキュールの一種で、色づけによってオレンジ・キュラソーとかブルー・キュラソーなどがあります。コワントローというのは、このホワイト・キュラソーを作っているフランスの会社名です(その他の会社のものは「ホワイト・キュラソー」として売られています)。小さな酒屋さんでも置いてある所はあるので、結構見かけるかも知れません。

 さて、今回の題名は「& Variations」となってますね。実はこの Side- Car 【サイド・カー】 というカクテルを覚えるだけで、更に4つのカクテルが知識として増えることになります。なので、これらをまとめて「サイド・カー・ヴァリエーション」と呼ぶ場合があります。一気に行きます。


カクテル・白色


??? 【???】

基酒:??? 【???】
技法:シェーク
度数:29度
レシピ
??? 【???】 1/2
Cointreau 【コアントロー】 1/4
Lemon - Juice 【レモン・ジュース】 1/4

 まず、4大スピリッツのお話を。詳しくはそれぞれ独立した回で書いていきますが、Spirits 【スピリッツ】 とは蒸留酒のことで、その中でも特に優れたものが、 Gin 【ジン】Rum 【ラム】Vodka 【ウオツカ】Tequila 【テキーラ】 というお酒なのです。
 ここで、上記の「???」の部分に4大スピリッツを振り分けた場合、
 Gin 【ジン】White - Lady 【ホワイト・レディ】

 Rum 【ラム】X.Y.Z. 【エックス・ワイ・ズィ】

 Vodka 【ウオツカ】Balalaika 【バラライカ】

 Tequila 【テキーラ】Margarita 【マルガリータ】

となります。


 お分かりでしょうか。ブランデーの部分が変わるだけです。「え、4つも名前を覚えるのは面倒くさい」と思われるかも知れません。ですが、変わるのは基酒(ベース)の部分だけなので、たとえばあなたがジンを好む方なら、
サイド・カー のヴァリエーションで、ジンをベースにしたやつ、ちょうだい」
「はい、 ホワイト・レディ ですね」
 となるわけです。実際、「今日はウオツカが飲みたいから、ウオツカ・ベースのサイド・カー」とか「テキーラのサイド・カーね」と注文する人もいます。バーテンダーさんとしても、サイド・カーは有名で、しかもレシピは簡単なのでまず覚えています。そのベースを変えるだけですから、こういった注文でも十分喜ばれるのです。

 ここの趣旨はあくまでも初心者向き(そのうち徐々にレベルアップをしていきますが)ということで、バーテンダーを目指している方ならともかく、上記の5つすべての名前を覚える必要はありません。 まずはSide - Car 【サイド・カー】 だけで十分です。


 それぞれのカクテルの由来について、簡単に説明を。
White - Lady 【ホワイト・レディ】

 1919年にロンドンのシローズ・クラブのバーテンダーだったハリー・マッケンホルン氏が作ったとされていますが、その当時はクレーム・ド・ミントというミントのリキュールが使われたようです。1925年にベースがジンに代わり、人気が高まったとされています。ただ、なぜこの名を付けたのかはよく分かりません。(ご存知の方、情報お待ちしております)


X.Y.Z. 【エックス・ワイ・ズィ】

 アルファベット26文字の最後、X、Y、Z。つまり、これより後がない、最後の、究極のカクテルという意味。上記とは逆に、名前の由来は分かっているのに製作者がまるで分からないというカクテルです。
 私もこれを締めのカクテルとしています。私のいきつけのお店では、私がこれを頼むと、バーテンダーさんは差し出した後に裏でこっそりと勘定の計算を始めます。暗黙の了解というやつですね。これを頼んだからといって後は何も頼んじゃいけないわけではないのでご安心を(笑)。
 名前に恥じない、これ以上に手の加えようがないカクテルです。ちなみにZを「ゼット」ではなく「ズィ」と呼ぶのは、気取っているわけではなく、英語圏ではこう言わないと通用しない場合があるからです(単独では「ゼット」と言うのに、単語になると「ズィ」となる不思議なアルファベットですね)。


Balalaika 【バラライカ】

 ロシアの民族楽器の名前です。ベースがウオツカだからでしょう(ウオツカは必ずしもロシアで作られているわけではないのですが、ロシア=ウオツカというイメージが強いですね)。


Margarita 【マルガリータ】

 これは有力な説が2つあります。1つ目は、ロサンゼルスのバー「テール・オ・コック」のバーテンダーであるジャン・ディレッサー氏が作ったというもの。彼にはマルガリータというメキシコ人の恋人がいたのですが、狩猟に出かけた際に流れ弾に当たって命を落とし、その思いを込めてメキシコの酒であるテキーラをベースにこのカクテルを作ったとされています。そして1949年、アメリカで行われたナショナル・カクテル・コンテストでこのカクテルを披露し、見事に3位を獲得しました。
 もうひとつは、製作者は全く別のバーテンダーで、マルガリータという恋人のために考案したカクテルとされてます。
 前者のほうはなにしろ、製作者自身の思い出とともにコンテストに出された作品ですので、多くの人はこちらの説を支持しているようです。いずれにせよ、恋人のために作られたというカクテルであることは間違いないようです。


 余談ですが、写真が白抜きに変わりました。借りたデジカメが悪かったのか、撮影方法がまずかったのか、背景を黒抜きにしたら白いカクテルのはずが濃灰色というか薄い黒色の不気味なカクテルに。なので今回は白抜きで。お勧めのデジカメってありませんか? カクテルで背景が写りこむのはあまり好きではないのですが、みなさんはその辺り、どうお考えでしょうか? また、同じグラスで同じような色のカクテルの場合、同じ写真を流用していますが、まあこれは、大人の事情(?)というやつです。なにしろ、バリエーション説明だけで5回もカクテルを作るのは大変ですから(さすがにコアントローが入ったカクテルを一気に5杯も飲む勇気はありませんし、撮り直すのも大変なので)。
 今回は定番のカクテルを説明することができて、ようやくまともな内容になってきたような気がします。
Orange - Blossom 【オレンジ・ブロッサム】 (第1回)や Bloody - Mary 【ブラッディ・メアリ】 (第2回)とて、定番でまともなカクテルであることに変わりはないのですが。

 次回は、ここまでほとんど無視してきた「ステア」や「シェーク」、「グラスの違い」など技法を扱ってみたいですね。こちらもちとイヤな思い出とかいい思い出とかもありますから。



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Cocktail - 第2回 Cuba-Libre、Bloody-Mary

Posted by 倖成卓志 on 10.2006 悠久のカクテル 0 comments 0 trackback
 さあ、第2回目です。
前回とは少し様相の違うカクテルを紹介しましょう。


クバ・リブレ


Cuba - Libre 【クバ・リブレ】
基酒:Rum 【ラム】
技法:ビルド
度数:12度
レシピ
Rum 【ラム】 45ml
Lime - Juice 【ライム・ジュース】 10ml
Cola 【コーラ】 適量

 Cuba - Libre 【クバ・リブレ】

です。あれ? 「キューバ・リブレ」じゃないの? と思われた方もおられるでしょう。
 このカクテルは、1902年、キューバがスペインから独立し、その時の掛け声「Viva Cuba Libre!(キューバの自由、ばんざい!)」から名前を取ったとされています。この、「Cuba Libre」を、スペイン語では「クバ・リブレ」と読み、英語では「キューバ・リバー」。日本ではなぜか「キューバ・リブレ」と、英語とスペイン語が混同した状態になっていますね。
 もうひとつ、注意点。それは、 Lime - Juice 【ライム・ジュース】 を使うことです。これを使わない場合には、 Rum & Coke 【ラム・コーク】 というカクテルになります。私は居酒屋チェーン店にはまったく行かないのですが、付き合いでやむなく訪れたとき、「キューバ・リブレ」を頼んで「ラム・コーク」が出てきたときはガッカリしたものです。ライム・ジュースが非常に心地よいアクセントとなっていますので、お酒に弱い方も是非お試しを。

 さて、前回との大きな違いは、飲むスタイルです。
Orange - Brossom 【オレンジ・ブロッサム】 のように、カクテル・グラスを使い、短い時間で飲むカクテルを、Short - Drinks 【ショート・ドリンクス】 、今回のようにタンブラーやコリンズ・グラスなどで、じっくりと時間をかけて飲むカクテルを、 Long - Drinks 【ロング・ドリンクス】 といいます。目安としては、ショート・ドリンクは5分から10分ほどで、ロング・ドリンクは冷えたものならぬるくなる前に、温かいものなら冷めてしまう前に飲んでしまいましょう。

 もうひとつ、レシピの表記が少し違いますね。
 ショート・ドリンクの場合は、1/2とか1/3のように分数で表記し、ロング・ドリンクの場合は、15mlとか30mlのように数量で表記します。これに関して、ロング・ドリンクの場合ですと、「適量」という表示がでてきます。たとえば、Cuba - Libre 【クバ・リブレ】 の場合、コーラは「適量」となります。つまり他の材料を入れた後に、コーラをグラスの上の方までたっぷりと入れるわけです。表記の違いは、ショートに比べてロングの方では厳密さが要求されないからでしょうか。
 とはいえ、やはり初心者の方はレシピの表記までいちいち覚える必要はありません。バーで注文するなら「キューバ・リブレ(日本ではこちらのほうが一般的なので、クバ・リブレというより、キューバ・リブレと言ったほうがわかりやすいでしょう)を下さい。あっ、ライム・ジュースも入れてね」で、十分です。

 さて、ロング・ドリンクの定番といえば Bloody - Mary 【ブラッディ・メアリ】 も忘れてはいけません。「ブラッディ・マリー」とも言います。意味は「血まみれメアリ」。


ブラッディ・マリー


Bloody - Mary 【ブラッディ・メアリ】
基酒:Vodka 【ウオツカ】
技法:ステア
度数:12度
レシピ
Vodka 【ウオツカ】 45ml
Tomato - Juice 【トマト・ジュース】 適量

 レシピとしては単純明快です。まずは「メアリ」の説明から。
 この「メアリ」とは、16世紀半ばのイングランド女王であるメアリ・テューダー1世とされています。彼女は宗教改革として、カトリックの復興を目指し、プロテスタントを多数迫害、殺害したと言われています。そこでプロテスタントから付けられたあだ名が「ブラッディ・メアリ(血まみれメアリ)」。このカクテルを初めて作った人が、トマト・ジュースの赤を血の赤になぞらえ、この名前を付けたのでしょう。
 今回はウオツカにトマト・ジュースという一番簡単なヴァリエーションですが、セロリやキュウリのスティックを差したり、ウスター・ソースやタバスコを入れたりと、人によっていろんなヴァリエーションがあります。中でも面白いのが、クラマトー・トマトジュースを入れるヴァリエーションです。これはハマグリのエキスが入ったもので、一流のバーテンダーが、特にこだわりを持って作りたい時に使用します。名前も「ブラッディ・メアリ・シーザー」となるようですが、この名前はあまり普及していないのではないかと思います。(私にも、どう綴るのか分かりません)

 アメリカでウオツカが爆発的に売れるようになったのは、このカクテルのおかげともされています。禁酒法時代が終わり、一般にお酒がよく飲まれるようになったとはいえ、やはり奥様方にとっては亭主がへべれけに酔っ払って帰ってくるにはあまりありがたくない。そこで、亭主族も考えた。ウオツカなら無味無臭(正確には味も臭いもあるのですが、あまり感じられない)なので、これにトマト・ジュースを入れたなら、酔っ払っているのをごまかせるんじゃないか。
「ダーリン、また飲んできたでしょう」
「いや、飲んでないよ。友達とトマト・ジュースを飲んだだけだって。ほら、ハァーーー」
「あら、お酒の臭いがしないわ。変ねぇ・・・」

 ところで、 Bloody - Sum 【ブラッディ・サム】 となると、基酒がウオツカがジンに変わるので、途端にジュネバー・ベリーの香りがプンプン漂うため、酔っ払っているのがしっかりとバレてしまうのでご用心のほどを。
 カクテルに詳しい方は「 Bloody - Bull 【ブラッディ・ブル】 はどうした?」と思われるかも知れませんね。ビーフ・ブイヨンを入れるもので、キチンとした料理も出てくるバーにならメニューに載っているかも知れませんが、あまり日本人好みの味ではないので、今回は省略されていただきます。

 あまりにもお馴染みすぎるカクテルですが、それだけに人気も高く、特にブラッディ・メアリになると、いろいろな人のそれぞれのこだわりを載せるだけで膨大な量になってしまうほどです。自宅でも簡単に出来るカクテルなので「タバスコは1滴」とか「塩と胡椒を少々」、あるいは「ウスター・ソースは日本のよりもイギリスのものを」、「セロリは葉付きのままで」といったように、自分好みに作り上げてみるのもまた楽しいかと思います。

 ふと思い出しましたが、この間、カフェのマスターと話していて「バーであれやこれやと注文をつけるのは失礼になるんじゃないの?」と聞かれました。そんな心配は不要です。むしろ自分の好みをしっかりと伝えたほうが良いのです。
 相手が一流のバーテンダーさんなら、仮に「キューバ・リブレをちょうだい。あ、ライム・ジュースは入れないで、代わりにレモン・ジュースを入れて」など多少ムチャなことを言っても、「そんなこと出来ません!」などと怒ることはせず、むしろニッコリと微笑んで応対してくれることでしょう。(まあ、限度というものもありますが、「ウオツカは少なめに」とか「ジンを少々多くしてよ」という程度ならまず大丈夫でしょう)
 「カクテルはこうでなければならない」とか「レシピは厳密に」ということはありません。楽しむのが第一の目的なのです。最初のうちはメニューにあるのを適当に。そのうち慣れてきたら、ちょっと勇気を出して「ブラッディ・メアリをちょうだい。あっ、今まで言わなかったけど、実はセロリ、ダメなの。スティックはキュウリだけにしてくれる?」。通いつめるうちに「いらっしゃいませ。最初はいつもどおり、ブラッディ・メアリでよろしいでしょうか」などと言われるようになったら、もうそのバーはあなたにとって第二の家、欠かすことの出来ない大事な空間となることでしょう。



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Cocktail - 第1回 Bronx、Orange-Brossom

Posted by 倖成卓志 on 06.2006 悠久のカクテル 1 comments 0 trackback
 日本におけるカクテルのイメージといえば?
 デートでモードを盛り上げるためのアイテム? ちょっと気取った飲み方? ワイワイ、ガヤガヤと飲むイメージは無いようですね。周りに聞いてみても「よく分かんない」とか「あんなものは格好付け」とか芳しくないようで。でもヨーロッパでは、もちろんバーで静かに飲むものでもあるのですが、パーティーでワイワイ、ガヤガヤと飲むものでもあるのです。考えてみれば、パーティーにはいろんな人が集まるのですから(まして多国籍の人がたくさん集うこともしょっちゅうですから)、ビールやワインだけでは好き嫌いがあって、場が白けては何にもならないのも事実。

 で、気取って飲むにしろ、楽しんで飲むにしろ、「カクテルはよく分かんない」と一方的に避けちゃうのは勿体無いですし、デートで好きでもないカクテルを飲まされるのもツライ。私なりの体験を含めて、いろんなカクテルを紹介してみたいな、と思います。好みのカクテルを見つけてもらえれえば、嬉しいですね。

 で、最初は
Bronx
 【ブロンクス】


(正確には「Bronx Cocktail」というように「○○Cocktail」と呼ぶのが正しいのですが、面倒なので、一部の絶対に付けなければならないとされるものを除いては、後ろの「Cocktail」の部分を省略します)。
 えっ、ちょっと待て?
 「カクテルはマティーニに始まり、マティーニに終わる」って言葉を知らないな、「カクテルの王様」ことマティーニを最初に扱わないなんて、このブログを書いてる倖成ってカクテルのことわかってないんじゃないか?
 と、いう声が聞こえてきそうです。確かにその通りです。マティーニを語れば、カクテルについてのほとんどすべてを語ることができるというほど。マティーニのマニアのことを特に snob 【スノッブ】 (一般には「気取り屋」とか「俗物」という意味もある)というように、語りだしたらきりがないほどに奥が深い・・・実は、それこそが
Martini 【マティーニ】 を一回目に扱わなかった理由なのです。

 最初から専門用語や技法を羅列したりすれば「難しくて分からない」、「そんなこと別に知りたくもない」と敬遠されてしまう。実際、私も酒場で酒飲み仲間たちとカクテルの話をしていると横から「そんな訳の分からんことをゴチャゴチャ言って、何がおもしろいんだ、え? 男なら焼酎だ、カクテルなんてナヨナヨしたのなんか飲んでるから今の若者はダメなんだ。そうだろ、え?」なんて具合にチャチャを入れられてしまうことがあるのは、やはり誤解があるからでしょうね。

 でもって、バーテンダーさんの中にも「カクテルはマズイ酒をうまく飲むための技法」と言ってはばからない人もいて。この誤解はずっと後の回に解くことにして、とりあえずは「マズイ酒をうまく飲むための技法」としてのカクテル、 Bronx 【ブロンクス】 を紹介しましょう。


カクテル・オレンジ色


Bronx 【ブロンクス】
基酒:Gin 【ジン】
技法:シェーク
度数:27度
レシピ
Dry - Gin 【ドライ・ジン】 2/3
Dry - Vermouth 【ドライ・ベルモット】 1/6
Sweet - Vermouth 【スィート・ベルモット】 1/6
Orange - Juice 【オレンジ・ジュース】 1/6

 基酒というのはベースになるお酒です。他にはRum 【ラム】、Vodka 【ウオツカ】、Tequila 【テキーラ】などがあります。技法はシュークとかステアとかビルドとか。この辺りも後々に詳しく書いていくつもりですが、最初のうちは基酒だの技法だのレシピだの、いちいち覚える必要もなくて、単に「ああ、こんな名前のカクテルがあるんだ」程度で読み流していただければ結構です。もちろん分かる人で道具も揃えている方は自分で作ってみるのも結構。

 で、本題。

 ブロンクスというのは、ニューヨークにある自治区のひとつ。時は禁酒法時代。19世紀中ごろから20世紀初頭まで、酒を自宅で飲むことはOKだったが、製造や販売が禁止されたという時代(アメリカ全州で施行されたわけではないのですが)。つまり、酒屋や酒場はお手上げというとんでもない時代。自宅で飲んでいいのだから(と言っても、製造・販売禁止で飲酒OKという時点でこの法律がおかしなものだということが一目瞭然なのですが)何とか手に入れたくても、目ぼしい酒はお金持ちの人たちが手に入れまくってるから、どこにもない。この禁酒法時代についても後々に詳しく書くとして、「作っちゃダメ」と言われて、みんながみんな「ハイそうですか」と黙っているわけがない。こっそり作る輩も現れて、そんな人たちの作った密造酒を裏ルートで流すマフィアが横行したりして。ところで酒の工場や酒蔵を見学したことのある方ならお分かりでしょうが、酒作りの工程というのは想像を絶するほどにすべきことが多く、しかも細かい。個人でこっそり作った密造酒なんてマトモな物ができるはずもなくて、ほとんどアルコールに近くて飲めたものではなかったようですが、それでも飲んじゃうのがノンベエ。

 さて Gin 【ジン】 というお酒は、特にジュネバー・ベリーという木の実の香りが強くて、好きな人はこの香りが好きで、嫌いな人はまさにこの香りが嫌いというほどに香りのクセが強い。しかも当時の粗悪な密造ジンとくれば、相当にヒドイ臭いだったらしい。で、ふと目に止まったのがオレンジ。こいつをジュースにして混ぜれば少しは臭いがおさまるだろうと、できあがったのが Bronx というカクテル・・・なのですが、はて、ベルモットなんて上質のお酒が禁酒法時代のアメリカでそんな簡単に手に入ったのかしらん?
 もっと簡単なのが、

Orange - Brossom 【オレンジ・ブロッサム】
 というカクテル。


カクテル・オレンジ色


Orange - Brossom 【オレンジ・ブロッサム】
基酒:Gin 【ジン】
技法:シェーク
度数:25度
レシピ
Dry - Gin 【ドライ・ジン】 2/3
Orange - Juice 【オレンジ・ジュース】 1/3

 こちらなら、なるほど、密造ジンとオレンジ・ジュースだけの組み合わせで禁酒法時代っぽいカクテルですね。欧州の結婚披露宴などでこれが出される場合があります。オレンジの花言葉が「純潔」だからでしょうね。

 ワイワイ、ガヤガヤ、仲間内でパーティーなんか開いたときに、お酒を揃えていて自分でカクテルを作る人がいたりしたら、みんなで オレンジ・ブロッサム 。
 いくら自分で作るとは言っても、ベルモットを2種類とも揃えてるとは限りません。私はベルモットを2種揃えていますが、使うのはドライだけでスィートの方は余り気味です。なので、バーで飲む機会があって、 オレンジ・ブロッサムと同じような感じのカクテルが飲みたいけど、それだけじゃ物足りないという人は ブロンクスといった感じでいかがでしょうか。

 取り合えず、2種類。ちょっと堅苦しかったかなと反省しきりです。
 次回こそは Martini 【マティーニ】 にしようかとも考えたのですが、別にカクテル講義のつもりもないので、むしろ私がどんなカクテルに出会ってきたのかという意味では、 Side -Car 【サイド・カー】 とか、X.Y.Z. 【エックス・ワイ・ズィ】 を先に書いてみた方がいいかな、と。イイ思い出、イヤな思い出も含めて書いてみたいので、少しでもカクテルに興味を持っていただけたら幸いです。


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挨拶

Posted by 倖成卓志 on 05.2006 言いたい放題 0 comments 0 trackback

 初めまして。倖成卓志[こうじょう・たかし]と申します。名前、読みにくいですね?すみません。 


「倖」は「幸」と同義。苗字は「幸せになりたい」という思いから付けたのですが、「(人力で)幸せになるんだ!」という意味と、「向上」という意味も込めています。間違っても、攻城とか口上とか工場などとは関係ありません。


 まあ、それはひとまず置いといて。


 


 まったくの個人ベースで、占い主体&歴史とか時事記事なども織り交ぜた同人誌(?)を無料で作っていましたが、時間的な限界があって、一時中止。そんな時にふと「ブログ」の情報を得ました。「趣味の範囲がおっそろしく広い」と言われ、自分ではそうは思っていないのですが、とにかく世の中で起こった様々な出来事や、あるいは乱読趣味から来るいろいろな歴史や雑学などを思いつくままに書いていけたら、それを読んで頂ければいいかな、と思い、始めた次第です。


 


 ともかく、これからよろしくお願い致します。

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 いざ、霊薬【エリクシル】を求めて・・・

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