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Cocktail - 第8回 奇術師たちの饗宴

Posted by 倖成卓志 on 16.2006 悠久のカクテル 0 comments 2 trackback
 ダイ=ヴァーノン。本名、David Frederick Wingfield Verner。
 1894年6月11日生まれ、1992年8月20日没。享年98歳。
 職業:奇術師。

 カナダ・オタワの生まれで、後にアメリカへ移り、紙切り芸人などを経て、やがて奇術師として人気を博す。3歳の頃から奇術に興味を抱き、「(生まれてからの)3年間が惜しい」と洩らしたという(5年という説もある)。
 マジックの考え方を一挙に数十年進歩させたといわれる人物。世界中の奇術師たちから「プロフェッサー」と尊称された。見た目が派手なだけのケレンな奇術や、技法をいじくり回すだけの奇術には一切手をかけず、見た目は地味だが合理的な手法を築き上げた。
 筆不精のため、自身の残した記録は少ないが、後に彼を信奉する人たちによって彼の手法や論理に関する様々な書籍が出回り、現在、世界中の奇術の”基礎”はすべてこの人物の発想に着地するとさえ言われている。

 特に親交の厚かった人物は、石田天海。互いにその技法に惹かれ、新たに開発した、とある奇術について誉められた時にヴァーノンは「これはテンカイの影響を受けて作ったのだ」と言ったという。誰かに習ったり、影響を受けた場合には、必ずその人の名を挙げ、手柄を独り占めするようなことはなかった。たとえば『ムトベ・パーム』で知られる六人部慶彦氏を「指を広げてパーム(手のひらでコインなどを挟んでおく技法)できる日本人がいる」とアメリカへ紹介したのもヴァーノンである。アメリカでは今なお人種偏見は強く、「日本人(のような低級民族ごとき)が(優れたアメリカ人よりも)凄い技術を持っていることなどありえない」という態度を公共の場ですら平気で見せつける傾向は残っている(イチローやマツイは例外中の例外。実はカクテルにおいても、上田和男氏の登場まではその傾向は強かった)から、日本人を「すばらしい」と評価するのは大変な勇気が必要なのである。
 優れたものを、素直に優れているといえる感性。

 また、強烈なまでの努力家でもあった。
 子供がちっとも寝ようとしないときの、母(つまり、ヴァーノンの妻)の殺し文句は「早く寝ないとパパが奇術を始めちゃうわよ」。
 ヴァーノンはひとつの奇術を開発すると、ありとあらゆる方向から研究を重ねたという。昼間は普通の気さくなオジサンなのに、夜になると奇術研究の鬼と化す。友人や親戚、周囲の人間たちは夜中だろと呼び出しを受けては奇術を見せられる。何度も何度も見せられては、これはどうだ、あれはどうか、などと質問攻めにあったという。 
 かなりの、こだわりの強さである。
 そのためか、その中には奇術嫌いになった人たちも大勢いたとされている。その方々には申し訳ないが、だからこそ、その時代のみならず、後世に至るまで優れた偉業を残すことができたといって過言ではあるまい。

 先に”合理的”と書いたが、それはどういう意味か。
 それまでに奇術は、舞台の上でいかにも大げさに演じられるものが多く、また不可思議で誰も真似できないような特別な技術という印象を与えていた。魔法使いのような演出が好まれたのである(奇術の歴史においては逆に「地味な演出の徹底」を余儀なくされた悲劇の期間が存在するのだが、今回の話とは趣旨が違うので省きます)。ヴァーノンはそれに納得がいかなかったのか、まったく正反対のことを考えた。
 「誰にでも出来る手法」。
 マジック・ショップに並んでいる、マジック・グッズ。それに感化されて奇術に興味を抱いたり、奇術師になろうと思った人の数を考えれば、彼がいかに現在に影響を与えたかは、もう書く必要もないだろう。

 日本でも息づいている。当時、訪日したヴァーノンに「天才」と呼ばれた「Dr.Sawa」こと沢浩氏。及び、その弟子である松尾天昭(現:Mr.マリック)、マギー司郎。ヴァーノンを初めとするあらゆる奇術の手法を纏め上げ、奇術技法を日本中に広く紹介している松田道弘氏。及び、松田氏の書籍に「これからの日本のマジック界を支える人物」として紹介された、前田知洋氏、ふじいあきら氏。空前の天才奇術師、セロ。そして、彼らによって感化され、奇術の世界に関心を抱く者たち・・・。
 そう、広がりはなおも続いていく・・・。




 なんでこんなことが書いてあるのか分からんないよ、という方はこちらへどうぞ。
 
 ここまで勢いで書いてしまってから、自分のレシピ・ストックの中に奇術系の名前を冠したカクテルがそんなに無いことに気付く。Magic [奇術] ではなく、Magician [魔法使い]をイメージしてるのが多い。


Magic - Punch 【マジック・パンチ】
基酒:Vodka 【ウオツカ】
技法:シェーク
度数:22度
グラス:コリンズ・グラス
レシピ
[Absolut] Vodka 【[アブソリュート] ウオツカ】 4oz.
Guava - Juice 【グワヴァ・ジュース】 1oz.
Papaya - Juice 【パパイア・ジュース】 1oz.
Mango - Juice 【マンゴー・ジュース】 1oz.

 「仰天マジック」。本来は「不思議なパンチ(ドリンク)」という意味で、せめて「奇術の迫力」と訳すべきかもしれないが、迫力というより驚きのカクテルで、「魔法」の意味も込めて「マジック」という名を使い、こんな意訳にしてみました。



Magic - Trick 【マジック・トリック】
基酒:??
技法:ステア
度数:18度
グラス:ビア・マグカップ
レシピ
Vodka 【ウオツカ】 1/8
Brandy 【ブランデー】 1/8
DISARONNO Aaretto 【ディサローノ・アマレット】 1/8
Irish cream 【アイリッシュ・クリーム】 1/8
[KAHLÚA] COFFEE LIQUEUR 【[カルーア] コーヒー・リキュール】 1/8
Milk 【牛乳】 3/8

 「奇術のタネ」という意味。でも「魔法の材料」という訳でもしっくりした感じの、少し不思議な味わいのカクテル。「Stir well」とあるので、よくかき混ぜるべし。
 
 余談ですが(←このフレーズが多いことにふと気付いた)、日本で「トランプ」と呼ばれているものは、西洋では「カード」あるいは「プレイング・カード」と呼ばれます。日本では、プロ以外はトランプ・マジックと呼ぶ方も多かったようですが、カード・マジックという言葉に慣れてきたのか、TVなどでもこの呼び名が増えてきましたね。明治維新の頃にカード・ゲームで遊んでいた西洋人が、「切り札だ」という意味で「trump」と言ったのを、これを見ていた日本人がこのカードの呼称だと思ってしまい、いつしかその呼び名で日本中に広まっていったとされています。


 ・・・あ、何か変な奴がしゃしゃり出てきました。私の出番はここまでです。カードに興味がなければ、読むのはここで終わりにして、避けたほうが無難と思いますよ・・・。




 やあ、どうもどうも。カード、お好きですか? 私は、とても大好きですよ。形といい、絵柄といい、この空白もたまりませんねえ。そして紡ぎだされる数多くのヴァリエーション・・・。
 私が誰かなんて、そんな些細なことはどうでもいいじゃないですか。こうしてたまに、何の手違いか私の元に迷い込んでくる旅人が現れるとですね、その方とカードに興じるのが私の趣味でして。倖成クンは悪趣味だなんておっしゃいますが、あの方もかなりの変人で・・・おっと、怒られるといけないので、話を元に戻しましょうか。
 さて、カード・ゲームは何になさいますか? セヴン・ブリッジ? ブラック・ジャック? ジン・ラミー? オール・フォー? ピケット?
 ・・・たまにババ抜きだとか、七並べなんておっしゃる方がおられるのですが、まあ、それも一興。でもここは、王道でいきましょうか。



Poker 【ポーカー】
基酒:Rum 【ラム】
技法:シェーク
度数:27度
グラス:カクテル・グラス
レシピ
Rum (White) 【ラム(ホワイト)】 1/2
Sweet - Vermoute 【スウィート・ヴェルモット】 1/2


 ああ、そうだ。葉巻はいかがです? これはなかなかの一品ですよ。ハヴァナのMONTECRISTO No.2。どうです、このアロマの豊かさといったら。No.1の方が香気浮豊かなのは分かってますが、この荒々しさもまた楽しくてね・・・倖成クンは酒好きのくせに葉巻には全く理解を示さないんでね、なかなか分かってくれない。これ1本で、リキュールが1瓶買えるじゃないかなんて無粋なことをおっしゃる。葉巻のためのラムもあるっていうのにねえ。
 ん? 突然何ですか、倖成クン。葉巻の名を冠したカクテルがある? ああ、そう。アナタって妙にマニアックというか、趣味に関しては節操がないというか・・・まあ、いいです。じゃあ、それを紹介したら出て行ってくれますか? 私はこちらのお客さんとのカード・ゲームを楽しみたいのでね。



Cigar - Lover's - Martini 【シガー・ラヴァー'ズ・マティーニ】
基酒:Brandy 【ブランデー】
技法:ステア
度数:36度
グラス:カクテル・グラス
レシピ
[Hennessy VS] Cognac 【[ヘネシー・VS] コニャック】 3/4
[Tawny port] Port 【[トゥニー・ポート] ポート・ワイン】 1/4


 え、オレンジ・ピールを忘れないように? はい、はい、分かりました。お帰りはそちらのドアで。ああ、分かってるとおっしゃる。珍しく素直なことで、大いに結構。はい、さようなら・・・。
 ふう、やれやれ。普段は大人しくて、決して悪い方じゃないんですが、自身の趣味の範囲になると人が変わったように強硬になりますからね。柔軟な発想に関心しつつも、妥協を許さない部分もあって・・・おっと、そんな話はどうでもよいこと。さあ、カードを配りましょうか。フォルドなし、チェンジは1回のみの、1番勝負でいきましょう。
 アナタが勝ったら、そうですね。私の秘蔵のワインからお好きなものを1本、差し上げましょうか。フランスの最高の当たり年、ひとつのハズレもないという1985年のボルドーなんてどうです? 私が勝ったら、そうですね・・・「時間」を頂きましょうか。え、意味が分からない? まあ、余興ですよ、余興。別に取って食おうってわけじゃないですからね。了解? では・・・。
 ・・・お。これは、これは・・・ふぅむ。これと・・・これを交換してみますか・・・ほほう、こうきましたか。



Poker - Face 【ポーカー・フェイス】
基酒:Tequila 【テキーラ】
技法:ステア
度数:13度
グラス:カクテル・グラス
レシピ
Tequila 【テキーラ】 50ml
Cointreau 【コワントロー】 15ml
Pineapple - Juice 【パイナップル・ジュース】 125ml


 では、ショー・ダウン。
 ほほう、ハートの3、4、9、J、Qのフラッシュですか。なかなか良い手ですね。私はこんな感じですよ。スペードとクラブとダイヤのA、そしてスペードとハートのKで・・・



Full - House 【フル・ハウス】
基酒:Rum 【ラム】
技法:ステア
度数:27度
グラス:カクテル・グラス
レシピ
Rum (White) 【ラム(ホワイト)】 2/4
Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 1/4
Swedish - Punch【スウェディッシュ・パンチ】 1/4


 どうやら、私の勝ちのようですね。では、「時間」を頂きましょうか。
 なぁに、そんなに大したことじゃないですよ。ここにはほとんど誰も足を踏み入れてこない所なので、ヒマでヒマで仕方なかったのですよ。ですから、ね、しばらく私の趣味に付き合ってもらいたいだけ。カードだけじゃなく、ビリヤードとかダーツもありますし。それにここに留まってくださっている旅人の方たちもいらっしゃいますから、寂しいなんてことはないですよ。
 ただ、私もちょっと偏屈でしてね。ゲームに飽きるのは、果たしていつになることやら。なにしろポーカーだけで200年、いまだに飽きずに続けているぐらいですからね・・・。



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ジン・ラミージン・ラミー(''Gin Rummy''、単にジンとも呼ばれる)は、1909年にE.T.ベーカーが考案した簡単な2人用のトランプ|カードゲームである。ノック・ラミーから派生したゲームであり、ノック・ラミーやラミーよりも短時間で決着がつく。.wikilis{font-size:10px;c
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2007.07.25 11:36 カードゲーム事始

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