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Spirits その7 - そして、猛々しき若者と、味わい深き古参と

Posted by 倖成卓志 on 26.2006 雄渾のスピリッツ 7 comments 0 trackback
 Gin 【ジン】のテイスティングは、順調に進んでいきました。
 力強いGORDON'S 【ゴードン】に始まって、規格外の美しさを誇るBOMBAY SAPPHIRE 【ボンベイ・サファイア】、古き良きVictorian Vat Gin【ヴィクトリアン・ヴァット・ジン】
 定番中の定番、BEEFEATER 【ビーフィーター】Tanqueray 【タンカレー】は外しました。もちろん、ワザとです。理由は最後に書きます。

 さて、ゴードンにも勝るとも劣らぬ猛々しき者と、ヴィクトリアン・ヴァットとは別の味わいを秘めた古参の者たちが待ちわびています。彼らに今年のテイスティングの最後を飾ってもらいましょうか。


 
PIMLICO
 【ピムリコ】

Pimlico

 製造元はHayman Distillers Ltd.
 Pimlico【ピムリコ】はロンドンにある古い町の名前。ラベルの描かれている風景がそれでないかと思われます。
Pimlico(label)

 度数は57度で、日本に輸入されているジンの中では最も度数の高かったジンです。
 「高かった(過去形)」です。
 BLACK WOODS 【ブラック・ウッズ】のLimited Ediciton 60【リミテッドエディション60】が、その名の通り60度で最強です。ただしこちらは、毎年作られているとはいえ22500本の限定生産なので、定期的に入手するのは困難ですね。(ちなみにこの本数は、製造しているシェットランドの人口と同じで、60は北緯60度であることも意味しているとか)
 常に、大量に定期的に生産されていて、入手しやすいものの中では、やはりPimlicoが最強のジンなのです。

 書籍などでは「香りや味などにおいて重厚」と書かれていますが、ストレートで飲んでみた感じでは・・・

 非常に強烈で、コクがある。ゴードンに勝るとも劣らない感じ。ジン特有の香りも強い。ただ誤解してもらいたくないのは、ジンと言われて思い浮かぶ香りであって、ボンベイ・サファイアやヴィクトリアン・ヴァットのような「豊かさ」には欠けている感じがします。
 味はどうなのだろう。何故か物足りない。ゴードンが最初から最後までコクの強さを発揮しているのに比べると、ピムリコは最後にスッとその存在感が消える感じがします。キレがいい、というより、腰が弱いという感じで、そこがちょっと残念(もっとも、この度数で最後まで腰が強かったら誰も飲めないだろう、なんて思ったりもしましたが)。そして味はあっても、味わい深いという感じはしないですね。
 この度数でマティーニを作るとどうなるんだろう、ということで、

マティーニ

Pimlico - Martini 【ピムリコ・マティーニ】
基酒:Gin 【ジン】
技法:ステア
度数:46.5度
グラス:カクテル・グラス
レシピ
 [PIMLICO] Gin 【[ピムリコ] ジン】 3/4
 Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 1/4

 ヴィクトリアン・ヴァットの時とは逆に、ヴェルモットの比率を高めたオーソドックス・タイプに仕上げてみました。ピムリコに不足している香りを補うため、ヴェルモットを多くしてみました。やはり度数は高めになりましたが、コクの強さもヴェルモットがほどよく包み込んでくれて、なかなかいい感じになったと思います。


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -

 そして、「古参」です。

 PLYMOUTH GIN
 【プリマス・ジン】

 Plymouth

 製造元はBLACK FRIAR'S GIN DISTILLERY.
 度数は41.2度です。
 Plymouth 【プリマス】はイギリス南西部の港町で、イギリス海軍基地があるところとしても知られています。蒸留所はもともとドミニコ派の修道院が保有しており、ここでジンを作り始めたのがきっかけとされています。ラベルに1793とあるのは、ブラック・フライアズ蒸留所が創業した年です。やがてこのジンはイギリス海軍御用達となります。
plymouth(label)

 しかし第2次世界大戦により、蒸留所は壊滅してしまいます。ここで一旦、プリマス・ジンの歴史が終わります。時間が戻るのは終戦から16年後の1961年。蒸留所の跡地をアメリカのシェンレー社が買い取り、プリマス・ジンはここに復活を遂げたのです。
 瓶の下のほうに、帆船が描かれていますが、これはメイフラワー号です。
Plymouth(ship)

 世界史(というかイギリス史やアメリカ史)をご存知なら、あるいは帆船模型ファンの方々ならご存知でしょうが、1620年、イギリスで旧教派に敗れた新教派(清教徒【ピルグリム・ファーザーズ】)たちが、新天地を求めて乗り込んだ船です。行き先は当時まだ未開発だったアメリカでした。

 今年(2006年)、サンフランシスコで開かれたWorld Spirits Competition【ワールド・スピリッツ・コンペティション】では3つのメダルを獲得しています。

 ところで、私が購入したのは純正品です。青(もしくは赤)い円の中に帆船の絵が書き込まれたラベルの、同じく「PLYMOUTH GIN【プリマス・ジン】」を見たことがある方もおられるでしょう。
 あれは何なのかというと、1993年、ブラック・フライアズ蒸留所が創業200年を記念して作ったものです。イギリス海軍の将校たちに配られていた当時のジンを復活させようと、当時と同じく57度の高度数を誇るジンです。


 さて、香りと味わいですが・・・

 うん!?

 香りの質が少し違う。ヴィクトリアン・ヴァットが”実”の香りなら、こちらは”草”の香り。といっても薬草くさい感じではなく、ほのかに香るこの感覚は、むしろボンベイ・サファイアを感じさせます。
 マティーニを飲むと、ヴェルモットの香りがフワっと漂うように、プリマス・ジンは単独でこの香りを作り出している感じ・・・何これ?

 困ったときは、調べるのが一番。ということで、プリマス・ジンのHPに入ってみたところ・・・うわっ、書いてない。蒸留所の歴史とか、場所とか、飲み方だけで、成分は何か教えてくれない・・・まあ、考えてみれば当たり前ですね。秘密をホイホイ教えてる、ボンベイ・サファイアの方が普通じゃない。
 書籍で調べたところでは、オリス、アンジェリカの根などが含まれているとのことで、ボンベイ・サファイアを思わせるというのは正解だったようです。


 さて、カクテルですが、
 Gibson 【ギブソン】の銘柄には、プリマス・ジンが指定されています。

 Gin & Bitters 【ジン&ビターズ】。
 少しエグい。と言ってもマズいという意味ではなく、ビターズの持つ香りや味を存分に引き出してくるので、「ジン&ビターズってこんな味なんだ」と再認識させられる。

 Martini 【マティーニ】は・・・ドライにすると、ボンベイと同じくその香りがヴェルモットに飲み込まれてしまいました。で、珍しく、スウィートに挑戦。使ったのはCINZANO ROSSO【チンザノ・ロッソ】。Sweet - Vermoute 【スウィート・ヴェルモット】の中では一番甘口とされているものなのですが・・・

 プリマス・ジン3:Sヴェルモット1
 ・・・に・・・苦いっ!? 何、これ? 確かにスウィートとはいえ、ヴェルモットには30種類近い薬草が使われていて、かすかに苦いのですが、これは苦味が前面に押し出されすぎ! 仕方ないので

 プリマス・ジン7:Sヴェルモット1
 ・・・まだ苦いっ!! ダメだ、これは・・というわけで見事に失敗。日本ではキニーネの輸入が禁止されているので入手できないのですが、Kina Lillet 【キナ・リレ】あたりならもっとうまくいくのかも知れません。
 とにかく、香りの質が良いうえに、融合する他の酒の香りや味を引き出してくるのが災いして、かえって悪い結果を及ぼしてしまいましたね。まあ、私なりの感想なので、「こうしたら良くなった」とか「これはこれでいいんじゃない?」ということもあるかも知れません。


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -

 5種類のジンを立て続けに購入して、テイスティング。ジンの深さを思い知らされた感じです。
 むしろ「ジンが好き」という人に「どのジンが好きなの?」と聞いてみたいですね。少なくとも「ジンならどれでもいい」とか「どれでも一緒」なんて答えには、絶対に納得できません。自分なりに、当時の記事とは表現が若干異なるかも知れませんが、簡単に思い返してみると、

 GORDON'S 【ゴードン】
 最初から最後まで力強いので、ストレートで飲むにはあまり向かないが、ジン&ビターズやドライ・マティーニではその真価を発揮するタイプ。

 BOMBAY SAPPHIRE 【ボンベイ・サファイア】
 香気豊かで、むしろストレートで真価を発揮する。レシピ自体は古い正統派のジンではあるが、現行の他のジンとは別物と考えたほうが良い。

 VICTORIAN VAT GIN 【ヴィクトリアン・ヴァット・ジン】
 正統派の香気を漂わせるジンで、古典派ともいえる。ジン&ビターズやジン・バックといった単純なカクテルほど、その風味が生きてくる。

 PIMLICO 【ピムリコ】
 力強さでも香りでもゴードンより強い。ただ質の面において他のジンに何歩か譲ってしまう感じがある。意外にもヴェルモットとの相性が良い。

 PLYMOUTH GIN 【プリマス・ジン】
 ボンベイ・サファイアに似た感じの、しかし別の繊細で豊かな香りを放つ。融合させる他の材料の味や香りを引き出すという、特異な性質を持っているようで、カクテル作りには注意を要する。


 こうして眺めてみると、やはり違いますね。
 と、実はこれが狙いで、ビーフィーターやタンカレーを避けてきたのです。ゴードンのストレートを飲んだときに味わった「あれ、こんなお酒だったのか」という認識から、ビーフィーターやタンカレーに対する感覚も、もしかしたら勝手に思い込んでいるのではないだろうか、とそんな疑念を抱いたわけです。それらをもう一度、評価してみたい。どうしてこの3種類(ゴードン、ビーフィーター、タンカレー)が主流としておさまっているのかを確認したい、ということです。
 もちろん、これではまだまだ不足なわけで、肝心のオランダ・ジンには一切手を出していませんし、フランスやドイツのジンにも着手していません。もちろん、これでジンの探訪を止めるつもりはさらさらなくて、ただロンドン・ジンの探訪としては一区切り。
 後はビーフィーターと、タンカレーを再認識する時期になったわけです。これで誰かから何かもらえるとか、原稿料が発生するとか言うわけではないのですが、目標があると面白いし、今回はジンへの認識がかなり変わったうえに、ますますジンに惚れ込んでしまいました。
 
 さて、今まで我慢し続けてきたけれど、ビーフィーターとタンカレー、そしてそれぞれの上位品種に手を出すとしますか・・・。

 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -

余談:ジンの歴史

 15世紀初頭、オランダ・ライデン大学に、Franciscus Sylvius[フランシスクス・シルヴィウス]という医者がいました。Genever Berry 【ジュネヴァ・ベリー】(杜松の実)には利尿効果があることがわかっていましたから、1600年【修正:1660年】、彼はジュネヴァ・ベリーを使った薬用の蒸留酒を造り出しました。そして、ジュニエーヴル(ジュネヴァのフランス語読み)として、市販されることになります。
 やがて、薬用酒としてだけではなく普通のお酒としてオランダ国民の間に広まっていきます。ジュニエーヴルのお酒、イェネーフェルとして。


 やがて、オレンジ公ウイリアム(オラニエ公ウィレム3世)の時代。オランダとイギリスの間は険悪で、いわゆる英蘭戦争はウイリアムの生誕から数えて3回に及びます。やがて1689年のイングランド侵攻、1689年の名誉革命に至ります。これによってウイリアムがイギリス国王に迎え入れられると同時に、オランダの文化もイギリスで流行し、ロンドンを中心としてイェネーフェルが広がり、お酒としての名称も名前を縮めてGin 【ジン】となりました。

 19世紀、イギリスでは連続式蒸留器が発達します。そしてイギリスのジンは特に、ブリティッシュ・ジン、あるいはロンドン・ジンと呼ばれることになります(ロンドン・ジンといっても必ずしもロンドンで作られているわけではありません)。
 オランダのイェネーフェルは頑なに単式蒸留器で造られており、両者は同じ根幹を持ちながらもまったく異なる性格を持ったお酒となっていくのです。



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ふむー、確かにピムリコは度数が高いことを考えると不思議なくらいすいすい飲めてしまいますねぇ。フリージングしなくてもスルスルッとのどを流れていくような感じで。
プリマスは香りもキックも重みがあるような感じですね。通の人は苦々しい顔するかもしれませんが、「香りの強いゴードン」ってな感覚でしょうか。

好みとかって話になると、僕は
フリージングならタンカレー
常温ならブードルス
フリージングと常温両方ならビーフィーター
最初にオススメするならボンベイ・サファイアですかねぇ。


んー、ところでライデン大学で開発されたのは1600年でしたっけ? 僕の知識では1660年なんですけど。
どっかで誰かが間違えて、僕がその間違ったのを覚えたんですかね??
2006.11.26 21:07 | URL | 神保銀郎 #tpujIlOc [edit]
 ジンはそれぞれの味わいや香りに違いが現れていて、それぞれに熱烈な愛好家がいるのがとても面白いですね。カクテルの中でのジンと、実際にストレートのジンがここまで違うのかと、改めて認識させられましたね。

 シルヴィウスによる開発は、ご指摘のとおり1660年です。書き間違いに気付いていませんでした、修正をかけました、ありがとうございます。
2006.11.26 21:28 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]
はじめまして。
お聞きしたいことがあります。
彼氏がPIMLICOが大好きなんですが近くではどこでも売っていません。どのようにして購入されてますか???
2007.10.01 12:24 | URL | mingo #emcqO1Y2 [edit]
 初めまして。ご訪問&コメントありがとうございます。
 PIMLICO【ピムリコ】は、量販店ではあまり扱っていない代物ですね。私自身は、これまでに何度か書いたことがあるのですが、ジンだけでも数十種類は置いてあるような、おそらくは取り扱い種類が県内でも一二を争うほど豊富なお店(卸?)を教えてもらい、そこに通っています。ただ、普通の人がこの手の、バーや専門店に卸すようなお店を見つけるのは困難なので、酒屋でアルバイトをしたことがある人などに尋ねてみるのもひとつの方法かと思います。

 もうひとつは、楽天などのネット・モールでの購入。日本で入手可能なもので、需要がありそうな商品ならいろいろと置いてありますが、欠点は、取扱店によって値段がかなり異なることと、送料で割高になってしまうことでしょうか。

 もしも、近くに輸入食料品店の『成城石井』さんがあれば、そこの店員さんに尋ねてみると良いかも知れません。本で「入手困難」と書かれている商品がさりげなく置いてあることもある、定期的に覗いてみる価値の高いお店です。

 以上、少しでも参考になれば良いかと思います。
2007.10.06 16:52 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]
質問だけしておいて、お礼も言っていなくてすみませんでした。サイトで書き込みしたあとこのサイトを見つけれなくて・・・
本当にご丁寧に回答してくださってありがとうございます。
いまだに入手することができていません。。。けどあきらめません!本当にありがとうございました^^
2008.03.31 17:39 | URL | mingo #- [edit]
>mingoさん

 いえいえ、お気になさらずとも大丈夫ですよ。それにしても、そこまで手に入りにくい代物だったとは。以前に「量販店であまり扱っていない」と書いてましたが、同じ系列量販店でも他の店では置いてないような珍しいお酒を扱っている店をたまに見かけます(店長さんの趣味でしょうね)。私も以前にお酒を探していて、量販店で店員さんに聞いたら「△△駅の近くに、うちの○○店があるんですけど、そこになら多分ありますよ」と答えていただいたことがあります。試しに量販店や酒屋さんの店員さんに聞いてみるのも良いかと思いますよ。
2008.04.01 21:42 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]
インターネットが一番情報量的にあると思い込んで、日々更新するのを待っていましたがあきらめました><
高いと思って意を決して購入しようと思うと、実は取り扱ってなかったりと…へこみまくりです。
アドバイス通り量販店を回ってみたいと思いますですが何分長崎と田舎なもので…けど探してみます♪
本当にありがとうございます★
2008.04.06 01:47 | URL | mingo #- [edit]


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