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Cocktail - 第5回 Martini (1)

Posted by 倖成卓志 on 22.2006 悠久のカクテル 4 comments 0 trackback
「カクテルはマティーニに始まり、マティーニに終わる」

 ようやく登場します。至高のカクテル

Martini 【マティーニ】

 私の書くものはただでさえ長いのに、今回はもっと長いので章ごとに分割してみます。気の向いたときに、数日に分けて読むのも可(そんな大層なものでもありませんが)。


1.基本


CocktailGlass.jpg

Martini 【マティーニ】

基酒:Gin 【ジン】
技法:ステア
度数:??度
レシピ
Gin 【ジン】 2/3
Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 1/3
Orange - bitters 【オレンジ・ビターズ】 1dash.

 構成は非常に単純です。最後にオリーブを飾って出来上がり。
元々は Sweet - Vermoute 【スィート・ヴェルモット】 を使った甘口のものだったようですが、ドライ嗜好で Dry -Martini 【ドライ・マティーニ】 を使ったものが主流になっています。
 Orange- bitters 【オレンジ・ビターズ】 は日本人の口には合いにくいので、無理して入れなくてもいいです。

 由来として有力な説は、

1.イタリアのマルティニ・エ・ロッシ社がキャンペーンに作ったとするもの。
 最初は Gin 【ジン】 と Sweet - Vermouthe 【スィート・ヴェルモット】 の比率が1対1の Gin & It 【ジン・アンド・イット】 (「It」は「Italian Vermouthe 【イタリアン・ヴェルモット】 」の略。Sweet - Vermouthe のこと。ちなみに Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 の発祥はフランスなので、こちらは French - Vermouthe 【フレンチ・ヴェルモット】 とも呼ぶこともある)。

2.1910年頃、ニューヨークのニッカーボッカー・ホテルにいたマルティーニという名のバーテンダーが、J.D.ロックフェラーのために考案したというもの。ただし信憑性はあまりない。
 いずれにせよ「マティーニに始まり・・・」と呼ばれるだけに、覚えやすいレシピではありますね。
 基本は以上。



2.配合の問題

 基本が分かったところで、応用その1。
(読みやすいように、ジンとヴェルモットはカタカナで表記しますね)

たまにこんな人がいます。
「ドライ・マティーニで、ヴェルモットは1/5にして」
とか、
「マティーニでさ、ジンとヴェルモットを4:1で」
 これはどういうことかと言いますと、「ジンを4/5、ヴェルモットを1/5にしてくれ」ということです。より、ドライになるわけです。
 ということは、配合比率を変えていけば、もっともっとドライになるわけですよネ。(以下しばらく、ドライの話は○:○という表記のみにします。前の数値がジン、後者の数値がドライ・ヴェルモットです)
 配合無視のパターンとしては、ヘミングウェイが語り草ですね。
 彼は一般には作家として有名ですが、酒好きには酒豪として有名です。戦場にいたとき、当然ミキシング・グラスなんて大層なものはないわけです。でもジンやヴェルモットの一気飲みではつまらない。そこで ジンを口に入れて、そのままヴェルモットも口に入れて、口内でミキシングしたという話があるのです。
Nikolaschka 【ニコラシカ】

を彷彿とさせる話です。
(ついでに Nikolaschka 【ニコラシカ】 の解説。ショット・グラスに Brandy【ブランデー】 を注ぎ、レモンの薄切りを乗せ、砂糖を山盛りにしたカクテル。レモンの薄切りで砂糖を包み込んで口に入れ、軽く噛んでからブランデーを口に注ぎ込んで、口内でミキシングするというスタイルのものです)

 一般に Extra 【エクストラ】 と呼ばれるものになると、7:1や9:1になります。
 もっと上にいくと15:1というのもあります。アーネスト・ヘミングウェイの小説『河を渡って木立の中へ』に登場している

Dry - Mongomery - Martini
 【ドライ・モンゴメリー・マティーニ】


 モンゴメリー将軍が、自分の軍勢が相手の軍勢の15倍(つまり15:1)という超優勢の状況になるまで決して動こうとはしなかったことに由来するといわれています。なぜ「Dry」かというと、モンゴメリー将軍が砂漠戦をしていたから。乾燥[Dry] とドライ・ヴェルモットとの掛け言葉なんですね、ハイ。

 ではもっとドライはないかというと、俳優のクラーク・ゲーブルのレシピ。これはヴェルモットの蓋でカクテル・グラスを拭いて、そこにジンを注ぐというもの・・・らしいのですが正直、「蓋で拭く」ってどういった仕草なのかよく分かりません。
 同じようなものに、

 ①グラスにヴェルモットを入れて軽く揺すり、それを捨ててジンを注ぐパターン。
 ②シェーカーにヴェルモットを入れて揺すって捨てて、ジンをシェーカーに注いで軽くステアしてからグラスに注ぐパターン。
 ③ジンだけを注いだグラスの上を、ヴェルモットの蓋を通過させるというパターン。
 これらはヴェルモットを香り付け程度にしか使っていないという極ドライなのですネ。


 第二次世界大戦当時。英国の宰相だったのはウィンストン・チャーチル。彼は酒好きとして知られています。彼にちなんだ酒の話は実に多いのです。で、マティーニが大好きなのだが、ヴェルモットは敵国イタリアのものだから飲みたくない。そこでヴェルモットの瓶を横目で見ながら、ジンのストレートを呷り、頭の中でミキシングしたという。
(この話のおかしな点は、先に挙げた通り、スィート・ヴェルモットは確かにイタリア産だが、ドライ・ヴェルモットはフランス産ということ。イタリアは敵だったが、フランスは同盟国だった)
 まあ、ここまでやればドライ派としては充分なわけです・・・。


3.可変式

T君「じゃあ、ジンをそのまま飲んでるのと一緒じゃんヨ。ヴェルモットいらないジャン?」
 はい、カクテル好きのT君登場。彼に割り込まれるととても嬉しく感じるのは、素朴な指摘をしてくれることです。もちろん、ドライでないマティーニの、究極版があります。


CocktailGlass.jpg


Perfect - Martini 【パーフェクト・マティーニ】

基酒:Gin 【ジン】
技法:ステア
度数:32度
レシピ
Gin 【ジン】 2/3
Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 1/6
Sweet - Vermoute 【スィート・ヴェルモット】 1/6

 「この程度で究極?」と思った方は、複雑なレシピに捕らわれている傾向にあります。クセは弱くなりますが、非常に飲みやすくなります。これでもジンが強すぎると感じる方には、すべてを1/3ずつにした Trinity 【トリニティ】 もお勧め。

 さらにジンよりも他のスピリッツが好きという方には Vodkatini 【ウオツカティーニ】Tequini 【テキーニ】 なんてのも。
 その名の通り、基酒をそれぞれ Vodka 【ウオツカ】Tequila 【テキーラ】 に変えたものです( Vodka - Martini 【ウオツカ・マティーニ】Tequila - Martini 【テキーラ・マティーニ】 でも通用します)。


T君「ロックはあり?」
 いきなりカクテルを作らせてもらえるのがこの店の良い所(と言っても、私が頼めば勝手に触らせてもらえる。もっとも、そんなことをするのは私ぐらいしかいない)。ロックグラスに氷を入れて、4:1で酒を入れてステア。でもって、T君の前に差し出して、
Martini - On - the - Rocks 【マティーニ・オン・ザ・ロックス】 です」
「これってボクのオリジナル・・・じゃないよね? やっぱりあり? カクテルの本に載ってる?」
「載ってる」
「ざんね~~ん(笑)」


4.匠のこだわり

 あくまでジンにこだわるなら、ジンの銘柄にもこだわりましょうか。
 初心者なら
 Beefeater 【ビーフィーター】
 今ではどこにでも売っています。田舎のスーパーやコンビニでも見かけます。とはいえ、決して安っぽいものではなく、「 Beefeater 【ビーフィーター】 を出されたなら、それは歓迎された証」と言われるように、一流のバー、一流のバーテンダーは絶対といって良いほど置いてあります。あらゆるジンを飲んで、 Beefeater 【ビーフィーター】 に回帰することも珍しくないとか。オーソドックスにして最高のジン。

Gordon's 【ゴードン】
 主流派の一角。どういうわけか、質は高いのに、単独では話題に上りにくい。なのに、マティーニの話題になると「実はボクも Gordon's 【ゴードン】 が好き」と言わずにいられなくなるという不思議なジン。007シリーズの『カジノ・ロワイヤル』では、


Vesper - Martini 【ヴェスパ・マティーニ】

レシピ
[Gordon's]Dry - Gin 【[ゴードン]ドライ・ジン】 3オンス
Vodka 【ウオツカ】 1オンス
[Kina Lillet]Dry - Vermouthe 【[キナ・リレ]ドライ・ヴェルモット】 1/2オンス

 分数表記が難しいので、アメリカ流のオンス表記をしました。これが作中に登場するVesper - Maritini 【ヴェスパ・マティーニ】

です。余談ですが Kina Lillet 【キナ・リレ】 は日本では違法薬物ですので、日本でこれを作っているバーでは大抵、 Lillet Branc 【リレ・ブラン】 が使われています。

 で、ジンの続き。緑色で消火栓のような形の瓶を見たことがありませんか? それが
 Tanqueray 【タンカレー】
 これも主流派の一角で、不思議なことに「荒削り」と「初心者向け」という二面性を持つジン。

 Bombay - Sapphire【ボンベイ・サファイア】
 その名の通り、サファイアのような美しい水色の瓶に収められたジン。多種の薬草が織り交ぜられた不思議な香りのジンで、根強いファンが多い。完成度が高いので単独でもかなり美味しい。ボンベイの話に入ったところで「えっ、マティーニに使うの? 勿体なくない?」と言われましたが、複雑きわまりない香りが楽しいとのファンもいるとか。

 Plymouth - Gin 【プリマス・ジン】
 イギリス最古のジン。こちらも根強いファンが多く、「プリマス・ジン以外はジンじゃない」などという過激派もいるとか(過激派と言っても実害はないので安心)。かつては日本では入手不可とまで言われましたが、現在ではそうでもないらしい。らしい・・・というのは、実は私はこれを飲んだことがないので、評価のしようがないのです。

 Bols 【ボルス】 。プリマスがイギリス最古なら、こちらは世界最古のオランダ製。Bols 【ボルス】 社のジンでもいろいろあるが、マティーニに向いているのは Silver Top 【シルヴァー・トップ】だろうか。


 ヴェルモットは以前にも紹介しましたが、Tinzano【チンザノ】、Martini【マルチニ】、Lillet【リレ】・・・。
 そしてドライの最高峰は Noilly Plat 【ノイリー・プラット】 社の French - Extra - Dry 【フレンチ・エキストラ・ドライ】ですね。



5.そして伝説へ?


 ここまでいけば、もうマティーニの Snob【スノッブ】 (マティーニの論争をするうるさ型。マティーニの匠)と周りから認められるでしょう。上記のような内容を何も見ずに、しかも自分の言葉で話すことができれば文句なし。



 ・・・でも・・・。


 実はここが本題。
おかしなレシピがひとつ紛れ込んでいましたね。

Vesper - Martini 【ヴェスパ・マティーニ】

レシピ
[Gordon's]Dry - Gin 【[ゴードン]ドライ・ジン】 3オンス
Vodka 【ウオツカ】 1オンス
[Kina Lillet]Dry - Vermouthe 【[キナ・リレ]ドライ・ヴェルモット】 1/2オンス

 普通、カクテルグラスは2オンスから3オンス程度。ところがこのレシピでは4オンス半。実はこれ、カクテル・グラスではなく、シャンパン・グラスで。そして、ステアでなく、シェークで作るもの。映画『カジノ・ロワイヤル』で、ボンドがそういう飲み方をしたことにあやかっているのですが、おかしな点というのはそこだけではなく、 Vodka 【ウオツカ】 を混ぜていること。

 その答えは次回で。(実は今回の話の中で、すでに答えが混じっているのですが・・・)





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マティーニは本当に世界のみんなに愛されてますよね。一つのカクテルだけで本が何冊もかけるのなんてマティーニくらいのものだと思います。

ボンド・マティーニとかも論争ではかなりいろいろ言われていますしね。邪道だろといわれたり、でも、美味しいじゃないかといわれたり。でも、ベースですら違うのに、マティーニと名が変わらないというのが面白いですね。映画の効果というのはすごいものです。
2006.06.24 02:49 | URL | filth #- [edit]
 >filth様
 ご訪問ありがとうございます。filthさんのブログにはちょくちょく出かけては書きまくりで、来ていただけるとは嬉しい限りです。
 映画だけではなくて、小説などでもどしどし出てくるのがカクテル。でもって、「オレのマティーニ」ってのもどしどし出てくるんですが・・・さすがにソラで語れるほど詳しくは知らないのです。
 「こんな映画ではこんなカクテルが登場した」とか「こんな小説ではこんなマティーニが出てくる」なんて話もあれば聞いてみたいですし、見つけたら紹介してみますね。
 では。
2006.06.24 20:45 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]
かなーりマティーニに突っ込んだ記事で読んでて面白かったです。
ただちょっと思ったのが、ドライ・ジンの配分を変えたりウォッカに変更したりはあるのに、ジュネバに変えたのってないんですね。
元々のジン&イットからすると、オールド・トム・ジンとドライ・ヴェルモットみたいな甘いのはジンの方ってのも興味深い組み合わせかな、とは思います。

・・・とか書いてたら、自分で試してみたくなりましたよ(苦笑)
2006.06.26 02:58 | URL | 神保銀郎 #- [edit]
 ご訪問ありがとうございます。実はオランダ・ジンについても書きたかったのですが、ひとつも飲んだことがないので書きようがなかったというのが実情なのです。
 名前だけなら、Noords Genever [ノールズ・ジュネヴァ] とか、 Van Wees [ヴァン・ウィー] とか。同じくロンドンでも Kensington [ケンジントン] とか、 Quintessential [クィンテッセンシャル] 、 ジンのくせに57度もあるという Pimlico [ピムリコ] なんてのもありますね。みんな飲んだことがないです。うーん、まだまだ経験不足だなぁ、と思ってしまいました。
 Bloomsbury [ブルームバリィ] のオレンジ・ジンとかも飲んでみたいし・・・。
 そーいえば、スコッチの瓶詰業者 Cadenheads [ケイデンヘッド] が出したという OLD RAJ [オールド・ラジェ] も、名前と綴りを聞いただけで、実際に瓶すら見たことないや・・・。
 うーん、書いてるうちにまだまだ研究すべきネタが出てきてしまいました。
2006.06.27 21:38 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]


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