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Liqueur - その6 狂気の酒場にて (At the Bars of Madness)

Posted by 倖成卓志 on 05.2007 狂乱のアブサン 0 comments 0 trackback
 アブサン、というお酒を知っていますか?
 フランスの、ニガヨモギをベースとしたリキュールです。
 綴りはAbsinte もしくはAbsinthe。アブサン、もしくはアブサントと発音します。

 元々は1792年、フランスの医師であるピエール=オーディネールが医薬品として作ったものです。ただし彼自身はこれを製品化していません。製品化されたのは1797年、ペルノーの手によるものです(この辺りの詳細は後述します)。


 このアブサン酒の最大の欠点は、精神障害を引き起こすことです。代表例はフランスの画家・ゴッホ。晩年の彼は、精神障害を引き起こし、自らの耳を殺ぎ、最後には自殺して果てました。

 1915年、フランス政府はアブサン酒の製造・販売を全面禁止しました。これによって、製造、販売はもとより携帯すら禁止されるという”禁断の酒”となったのです(アメリカの禁酒法が、携帯・飲酒を禁止せず、一部富裕層に対しては無関係という骨抜きの法律だったのとは雲泥の差です(参照:ポジティブリスト制度 VS 禁酒法))。

 しかし、ニガヨモギに含まれるツヨンという成分を10PPM(10mg/ℓ:1リットル当たり10mg)以下に抑えるという、EC基準を達成することを条件として、アブサン酒は現代に蘇ったのです。


 ところが、その基準をはるかに超えたアブサン酒を入手しました。もちろん、正規ルートで。
 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -


L’Extreme d’ABSENTE


L’Extreme d’ABSENTE BITTER
 【レクストリ-ム・ダブサント・ビター】


L’Extreme d’ABSENTE(label)



 英語読みなら「エクストリ-ム・アブサント」。
 製造元はDistilleries et Domaines de Province 【ディスティラリー・エ・ドメーヌ・ド・プロヴァンス】
 度数は、なんと70度もあります。


 そして、ツヨンの量は35PPM(35mg/ℓ)。つまり基準の3.5倍入っています。
 何故これが販売されているのか。


 実は、リキュールではなくビター(苦味酒)として扱われているのです。ビターなので、そのまま飲むわけじゃありません。Angostura - Bitters 【アンゴスチュラ・ビターズ】 のように、カクテルなどに数滴注ぎ込んで、風味付けに使われるのです。

 実際、蓋に付いているのは、スポイトです。

L’Extreme d’ABSENTE(bottle)


 こんな感じ。
 アブサン酒は普通、「緑の妖精」と異名を取るだけに緑色なのですが、このEXアブサンは黄色をしています。濃度の違いというより、製法が少し異なるのかも知れませんね。

 瓶の裏には、絵付きで、
「スポイトで垂らしてください」「グラスへ直接注ぎ込まないで下さい」「直接飲んではいけません」となっています。


 ついでに、解説書も頂いてきました。これがフランス語版で、

L’Extreme d’ABSENTE(Franch)


 その裏には英語で書いてあります。

L’Extreme d’ABSENTE(English)


 ・・・なんということでしょう。画像では字がまるっきり読めません・・・新たにデジカメ、買いたい。でも中古でも結構な値段がする。ま、それは置いといて。

 英語とフランス語、どっちで書いてもいいんですけど、日本語で書きます。


 -  ☆  -  ☆  -  ☆  -  ☆  -  ☆  -

 イケてるエクストリ-ム

 エクストリーム・ビール:ビールの入ったグラスへ2・3滴入れれば、こいつは新しいテクニック。トレンディーなレシピの完成さっ!

 エクストリーム・コーラ・ミックス:味と文化のコンビネーション。アンタのお好きなコーラに、安らぎを与えてくれるんだぜ

 カクテルへ:アンタのイケてるレシピに、新しい一手間。これっていいんじゃない?

 純粋に:水に入れるだけってのもアリかもよ

 ホイップ:各砂糖に4滴落としてみなよ

 アブサン+:アブサンの入ったグラスに2、3滴。こいつぁ、ナイスでガッツのあるアブサンになっちまうぜ、ひゃっほい!

(注:一部、精神錯乱気味の意訳になっております)


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -


 アブサンの名前にも意味があります。主原料はニガヨモギです。この植物の学名が「アルテミシア・アブシンティウム」で、アブサンという名前はここから来ています。
 アブサン酒にはニガヨモギの他に、アニス、アンゼリカ、フェンネル、スターアニス、バティアン、パセリ、コリアンダー、カモミール、ヴェロニク、バームミント、ヒソップ、オレガノ、カラマス、メリッサなど15種が使われていました(と書いていますが、具体的にどんな植物なのか知らないものもあります)。
 これらをスピリッツに浸し、単式蒸留器で蒸留しすると出来上がり。
 

「アブサンって、いままでもあったよね?」
 これは今回の話ではなく、以前、一緒にウゾを飲んだ人にされた質問です。確かに今までも「アブサン」という名前で売られていたお酒はありました。ただし、正規のものではありません。

 アブサン酒が禁止された後も、それを懐かしんで作られたお酒があります。ニガヨモギが精神障害の原因であるために禁止されているので、それ以外の材料を使ったものなら良いわけです。それがアニス風味を主体とするペルノー、パスティス(上記のウゾはこの一種。他にイエニ・ラクなどの種類がある)などがこれに当たります(これらもそれぞれに面白いので、そのうち単独に扱いたいです)。

 パスティスなどの売り文句で「アブサン」とあったため、アブサン酒がずっと存在していたかのように思われるのですが、パスティスはあくまでも「アブサンもどき」です。ただし、後述しますが、れっきとしたアブサン酒も現在では存在しています。


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -


 さて、上記で後回しにしたオルディネール博士のお話。

 ピエール=オルディネール博士は元々、フランス東部にあるフランシュ・コンテ地方の人でした。しかし、1789年にフランス革命が起きると、スイス・ヌーシャテル町近くのクーヴェという場所に移り住みます。やがて1792年、医薬品としてのアブサン酒を完成させるのです。しかし博士はこれを製品化させることはなく、あくまでも自分の医院で、試しに作ってみた代物という領域でしかありませんでした。

 さて、博士の元で働いていた二人の家政婦がいました。アンリオ姉妹といいます。博士はこのアブサン酒のレシピを彼女たちに渡します。何故なのかはよく分かりません、遺産分けの意味を込めたのでしょうか(あくまでも推測ですが)。この姉妹の知り合いで、博士のレシピを欲しがる人が現れます。アンリ=デュビーという軍人です。彼は姉妹からレシピを買い取ると、娘婿であるアンリ=ルイ=ペルノーとともに、1797年に工場を建て、アブサン酒の商品化に成功します(社長はペルノーです)。

 このアブサン酒の需要がフランスで拡大すると、1805年にはフランス・ポンタリエ市に工場を経て、同時に名前もペルノー・アブサンと変えます。

 しかし、既に書いたように、このお酒が精神障害を起こすことが判明すると、1907年にはスイス、1915年にはフランスで製造・販売が禁止されます。これに伴って、イタリアやアメリカでも禁止措置を採られることになるのです。
 これが一部解禁されるのが1981年。WHO(世界保健機構)において、ツヨンの残存濃度が10PPMであることを条件に承認されます。ペルノー・アブサンが復活したのは2002年。その他にもこの基準の下でアブサン酒が作られ、現在に至るのです。


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -


 同じような説明が何度も行ったり来たりしていますが、アブサン酒自体、歴史が入り組んでいるので、実はまだちょっとだけ書き足りないぐらいです。でもこれ以上書くと分からなくなりそうなので、後にパスティス系を書いた時に補足していきたいと思います(いつになるか分かりませんが)。

 で、

 最初に書いたように、これはそのまま飲んじゃいけません。70度という超がつく高度数のうえ、基準(といってもあくまもEC基準で、日本などで販売するには問題なしなのですが)を凌駕しています。
 でも、ちょっとだけ試してみました。まあ、今まで読んで頂いている方はご存知でしょうが、私は40度超のジンをストレートで飲みますし、60度近いお酒も飲んでいるので(まったく平気というわけではありませんよ。それが証拠に、度数5度のビール缶1本でも酔うときは酔います。飲み方の違いというところでしょうか)加減というものを多少なりとも知っているつもりです。普通の人は挑戦しないほうが賢明だと思います。

 いただきます
 ・・・
 ・・・・・・何と言うか、その
 ・・・・・・・・・頭が締まる
 頭の中が回転する、という酔いかたではありません。最初は、やや甘みを伴う痺れを舌先に感じさせられます。お酒を飲んでいるうちに感覚が鈍くなるというそれではなく、静電気に触れたような急激な痺れ。
 香り豊かで、薬草酒としては爽やかな味わいです。
 それからしばらくして、脳がギュと引き締まるような感覚に襲われます。締め付けられて、誰かの手が脳を直接掴んでくるような感じ。
 危ないです

 ジンに2・3滴入れると、雰囲気が変わります。ややトゲのあるジンが少し丸くなる。ヴェルモットに比べるとEXアブサンは甘みが少ないので、ドライ感がいっそう増し、馥郁たるマティーニの出来上がり。ついでに頭が締め付けられる感じ(ついでなのか?)。

 いいの、これ、販売して? でも・・・妙にハマる。確かにビールとか、ジンとかにちょっと入れると、刺激的。妙に、旨い。ビールとかで普段の飲み方に飽きたら、ちょいとプラスさせてみる飲み方が良いかと。
 
 アブサン酒といえば真っ先にゴッホが例に挙がるお酒なので、あまり良いイメージはないかも知れませんが、ロートレックやモネにように偉大な業績を残した人でアブサニスト(アブサン酒愛好家)という人もかなり多く、その頃に比べれば危険度も格段に下がっています(そのはずです)。酒を愛好した偉人も多いこと。アブサン酒も単に酒の一種と考えればそんなに敬遠することもないでしょう。一度お試しあれ。

 あんまり飲みすぎると、「病膏肓に入る」の諺もあるように、ハマりにハマりまくって、やがてアブサニスト上級者としていろんな人に勧めまくるようになるかも知れませんね(分かる人にはお分かりですね。あの方です)。その様子を「いいぞ、もっとやれ」って思う私も、ちょっと危ないアブサニスト初級者。



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