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Cocktail - 第22回 新生リキュール(La Liquore Nuva)(前編)

Posted by 倖成卓志 on 24.2007 悠久のカクテル 0 comments 0 trackback
「伯爵のカクテルをください」
 扉の音がはっきりと聞こえるほどに静かな空間に足を踏み入れた若く細身の、色白ではあっても華奢な印象を与えないその男性は、バーテンダーの『いらっしゃいませ』の言葉が終わると同時にそう告げると、そこが彼の指定席なのだろう、カウンターの一番端に静かに腰を下ろしていた。
 やがて彼の手の前に、静かにグラスが滑り込む。
 それはまさに伯爵の、気品溢れる美しい指を飾るにふさわしいような、鮮やかな彩りのルビーが溶け込んでいるかのように感じられた。

 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -

Negroni


Negroni 【ネグローニ】

 基酒:Gin 【ジン】
 技法:ビルド
 度数:27度
 グラス:オールド・ファッション’ド・グラス

 レシピ
 Gin 【ジン】 30ml
 Campari 【カンパリ】 30ml
 Sweet - Vermouth 【スウィート・ヴェルモット】 30ml

 イタリアのCamillo - Negroni 【カミーロ=ネグローニ】伯爵という人が、フィレンツェのレストラン『カソーニ』で、アペリティフ(食前酒)として作らせていたカクテルです。
 1962年、バーテンダーのFosco - Scarselli 【フォルコ=スカルセッリ】 が伯爵の許可を得てこれを公開しました。
 本来は、カットしたオレンジをグラスに飾ります。

 さて、ここで使われている材料の中で、最も特徴的なのが・・・


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -

Campari

Campari
 【カンパリ】


 発明者はGaspare - Campari 【ガスパーレ=カンパリ】

 ピエモンテ州ノヴァーラの出身で、若い頃はトリノのバール(英語ではバー。つまり酒場)で修行をしていました。やがて1860年にミラノでバールを経営するようになると、自家製のリキュールを出すことにしたのです。その名前は「Bitter All'uso d'Hallandia 【ビッテル・アルーソ・ドランディア】」。意味は「オランダ風苦味酒」。
 このお酒の原材料は秘密で、主成分とされているのはビター・オレンジ果皮、キャラウェイ、コリアンダーなどで、計30種類以上とされています。

 なぜ「オランダ風」なのかというと、イメージ。
 我々日本人も、ワインといえばフランスとか、ビールといえばドイツとか、必ずしもその国だけで作られているわけではないのに、何となくイメージしてしまいますよね。
 この当時、オランダの薬酒(ジンのことか?)が流行していたようで、どうやら「オランダ」といえば「薬くさい、苦い酒」というイメージがあったようです。


    -  ☆  -  ☆  -  ☆  -  ☆  -


 ガスパーレは研究熱心な人物だったようで、それからもいろいろなお酒を造ったようです。

 やがて、1882年にガスパーレが亡くなると、次男のDavide 【ダヴィデ】が跡を継ぎます。
 彼は、最も人気のある「ビッテル・アローソ・ドランディア」が、お客たちの間ではそう呼ばれていないことに気付いていました。あまりにも長ったらしい名前なので、こう略していたのです。
 「Bitter Campari 【ビター・カンパリ】(カンパリの苦いやつ)」
 意味が分かりやすくても覚えづらい名前よりも、意味は分からなくても覚えやすくて印象の強い名前の方が良いというのは、商品戦略の基本。このお酒はそのまま「Bitter Campari 【ビター・カンパリ】」へと名前を変えたのです(日本では「カンパリ」とだけ呼びます)。

 ダヴィデはさらに、それまでガスパーレが開発したいろんなお酒の中から、ただ二つだけを集中して作ることにします。ひとつはこの「Bitter Campari」。
 もうひとつは「Cordial - Campari 【コーディアル・カンパリ】」。
 コーディアル、というのは「加糖」という意味で、カクテルの世界では「ライム・ジュース」を「コーディアル(加糖)」と「フレッシュ(生)」とで分けるので、この言葉をご存知の方もおられるでしょう。
 コーディアル・カンパリはフランボワーズなどを主材料として作られたお酒で、「カンパリの白」と呼ばれることもあります。ビター・カンパリに比べれば希少な代物ですが、何度か見た覚えはあります。今回はあいにく入手できませんでしたが、探せば見つかると思います。リキュールの揃っているバーにならあるかも?!


 -  ☆  -  ★  -  ☆  -  ★  -


 さて、「商品の名前を覚えてもらう」「売れ筋製品に絞る込む」という戦略性を見せたダヴィデ。まだまだ手を打ちます。
 

    -  ☆  -  ☆  -  ☆  -  ☆  -


 唐突ですが、スプリッツァーというカクテルをご存知でしょうか?


Spritzer 【スプリッツァー】

 基酒:Wine 【ワイン】
 技法:ビルド
 度数:5度
 グラス:ワイン・グラス

 レシピ
 Wine (branc) 【ワイン(白)】 60ml
 Soda 【ソーダ水】 適量

 白ワインのソーダ割りです。ドイツ語で「はじける」という意味の「spritzen 【シュプリッツェン】」が語源だそうで、オーストリー・ザルツブルグで生まれたカクテルです。


    -  ☆  -  ☆  -  ☆  -  ☆  -


 ダヴィデは当時、この飲み方が流行しているのをヒントに、それまでストレートで飲んでもらっていたカンパリを、ソーダ水で割ることを考え付いたのです。

Campari&Soda


Campari & Soda 【カンパリ・ソーダ】

 基酒:Liqueur 【リキュール】
 技法:ビルド
 度数:7度
 グラス:タンブラー

 レシピ
 Campari 【カンパリ】 45ml
 Soda 【ソーダ水】 適量


 これが大当たり。こういう単純な発想は、単純だからこそ誰もしないものです。「ストレートで飲むのが『当たり前の』リキュールを、ソーダ水などで割ってはいけない『などとは誰も言っていない』」ことに気付いたダヴィデの勝ち。実際、日本でも女性に大人気でしたね。

 さらに、ダヴィデはまだまだ手を打ちます。当時人気のあった女性オペラ歌手たちを写真に撮り、それをカレンダーにして配ったりもしました。販促用(販売促進用)のポスターというのはそれまでにもあったようですが、カレンダーという発想はこれが始めてのようです(すくなくともお酒の分野では)。

 さらに、バールで売るだけでは留まらず、工場による大量生産から世界進出を試み、見事に成功を収め、現在では世界190カ国に販売網を広げています。


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 現社名はDavide Campari-Milano SPA。

 ちなみに、1999年にはイタリアのヴェルモット・メーカーのCinzano 【チンザノ】 社をその傘下に組み入れています。その他、ウオツカのSKYY BLUE 【スカイ・ブルー】を作っているSKYY Spirits【スカイ・スピリッツ】社もその傘下としている巨大企業となっています。


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 かなり有名なリキュールなので、情報も多いだろうと思ったらこれが大間違い。
 輸入元のサントリーさんの情報が一番役に立ちました。で、ネットで検索かけたらほとんどがコピペ(コピー&ペースト)で、+αの情報に当たらないし、トリノとミラノが混同してるのもあったり表現が違っていたりするとどこがどう正しいのか分からない。「ビッテル・アルーソ・ドランディア」なんて、みんなカタカナで書いてるから(探した本の中でもそうでした)、「誰か一人ぐらい『綴りはどうなんだろう』って思わんのか?」と思い・・・自分で調べました。いやぁ、検索サイトの翻訳でもこの言葉が出ないからイタリアとかアメリカのHPまで行ったのはいいけど、全部は読めん。でもネグローニを創作した(というか許可をもらった)バーテンダーの名前が分かったのはラッキーでした。
 スプリッツァーに気付いたのはカクテル好きだからかも。


 さて、これは「前編」です。次は「中編」です。一番ありきたりな内容になるはずです・・・たぶん。




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