スポンサーサイト

Posted by 倖成卓志 on --.-- スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

禁酒法時代のエトセトラ

Posted by 倖成卓志 on 06.2008 言いたい放題 6 comments 0 trackback
 LAPHROAIG 【ラフロイグ】Whisky - その7 何故ベッシーに頼んだのか? (Why did he ask Bessie?) )の、別のエピソード。

 それは、1920年から始まった「アメリカ禁酒法時代」に、まさにアメリカにおいて非常によく飲まれていたスコッチでもあるということ。

  -    Ψ    -    Φ    -    Ψ    - 



 書き間違いではありませんよ。「禁酒法時代」に「よく飲まれていた」のです。
(禁酒法時代については、ポジティブリスト制度 VS 禁酒法で)

 余談ですが、スコッチ・ウィスキーの輸出最大相手国はアメリカです。

 このラフロイグというスコッチ・モルトは、どこをどうしたらこんな香りが付くのかと言いたくなるほど、強烈です。「薬くさい」という言い方もされます。そこに目を付けた人がいたわけで、

取締官「お前のところでスコッチを扱っておると聞いたぞ。酒の販売が禁止されたのを知らんわけではあるまい。事実なら、牢屋に行ってもらうことになるなあ、んんっ?」
商人「と、とんでもない。確かにスコットランドからウィスキーを取り寄せましたが、あれは薬として販売してるわけでして・・・えっと、今お持ちしますね」
取締官「何が薬だ、ワシを誤魔化そうとしても・・・・うわっ、何だこのクサいのは。かえって気分が悪くなりそうだわい・・・うっぷ、うぇぇ・・・」
商人「ですから、薬でして」
取締官「うっぷ、うぅ・・・わ、分かった。確かにこんなのを飲むなんて、正気の沙汰ではないわ。ええい、近づけるでない・・・ううぅ、来るんじゃなかった。帰ってさっさと寝よう」

 とまあ、こんなやり取りがあったかどうかは知りませんが、商人もそして医者もせっせと手に入れて、「これは薬ですから」と称して売り飛ばしていたようです。具体的な売上高は分かりませんでしたが、アメリカ禁酒法時代にあってもラフロイグ蒸留所の売り上げは下がるどころか、むしろ上昇していったようです。


  -    Ψ    -    Φ    -    Ψ    - 



 これに対して、バーボンはかなり痛めつけられたようです。
 JIM BEAM 【ジム・ビーム】 社といえば、バーボンの大手ですが、ここも禁酒法時代にはウィスキーの蒸留を止めざるを得ませんでした。
 当時の蒸留所長は4代目の James = Beam 【ジェイムズ・ビーム】、1920年当時で57歳。

取締官「おい、監査だぞ! まさかと思うが、こっそりウィスキーを造ったりしてないだろうな!」
ジェイムズ「とんでもない。うちはウィスキー造りからはきっぱりと足を洗いました。今ではオレンジの栽培にいそしんでおります。はい」
取締官「たしかにオレンジはたくさん見かけたが・・・しかしそれでウィスキーを造っていないという証拠にはならんぞ!」
ジェイムズ「お疑いでしたら、どうぞ納得行くまで調べてくださいませ」
取締官「おい、この機械は何だ? 蒸留器だろ!」
ジェイムズ「いえ、今はオレンジを絞ってジュースにするのに使ってまして」
そこに、取締官に同行してきた生物学者がやってきて、
学者「取締官殿。この蒸留所ではウィスキーを造るのはもうムリですな。何しろ、大麦はあっても肝心の酵母が見つかりません」
取締官「そんなの、こっそり隠してるかも知れんだろ!」
博士「いえ、目ぼしい所にはありませんでした。もしそれ以外の所に隠していたら、酵母はすぐに死んでしまいます。そういう所は調べ尽くしました。ですから、ここではもうウィスキーを造るなんて不可能です」
取締官「そうか・・・ふむ、邪魔したな」

 とまあ、このセリフも私の創作なのですが、監査を受けたは事実で、酵母がなかったのも事実です。それからジム・ビーム社は炭鉱にも着手していきます。こうして、かつてはバーボンの大手として名を馳せたジム・ビームは転進を余儀なくされ、ジム・ビームのバーボンは幻の銘酒として歴史から名を消したのでありました。

 おしまい。

 ・・・ではなくて。

 1933年に法律が撤廃され、翌1934年にジム・ビームは販売を再開します。時にジェイムズ=ビーム、70歳。
 さて、肝心の酵母はいったいいずこに?
 ジェイムズはこの日がいつか来ることを信じて、こっそりと親友に預けていたのです。預かっていてくれた友人も、もしバレていたら牢屋送りになっていたかも知れず、まさにジム=ビームの命の恩人。名前こそ分かりませんでしたが、きっと二人抱きあって歓喜の涙を流したことでしょう。


  -    Ψ    -    Φ    -    Ψ    - 



 ジンについては、これは何度か書いていますが、スピーク・イージィ(もぐりの酒場)に出回っていたのは粗悪な密造酒。
 「ジンをストレートで飲むようになったら、アル中の始まり」という言い回しがありますが、これはこの頃に造られた密造ジンでの話。しかし、BEEFEATER 【ビーフィーター】 が出回り、各国の洗練されたジンが軒を連ね、カクテルにおいて様々なレシピが作られていくと、一転、おしゃれの要素を含んだホワイト・スピリッツ(無色蒸留酒)へと変貌するのですから、世の中は面白い。


  -    Ψ    -    Φ    -    Ψ    - 



 ワインは「キリストの血」と呼ばれるほど、重要な飲み物です。カトリックのミサでは、「聖体拝領」といって、赤ちゃんの口にワインを含ませる儀式があります。
 このミサで使われるワインを作ることは許可されましたが、それ以外は許されず、葡萄ジュース業者に鞍替えしたワイン生産業者も数多くいました。
 そんな中で、こんな表示が付いた葡萄ジュースが出回るようになります。

「注意 - この葡萄ジュースに砂糖とイースト菌を入れるとアルコール発酵を起こしてしまいます。気を付けて下さい」

 え、何だって?
 えーっと、「砂糖と」・・・砂糖は、あったあった。サラサラサラっと、それから・・・「イースト菌を入れると」・・・これだね、ポトポトポトっと・・・わ、何だこりゃ・・・「アルコール発酵を起こしてしまいます」。えー何だって。しまったなぁ、よく読めば良かったなぁ。ついうっかり間違えちゃったよ。
 捨てるのももったいないし、っていうか「キリストの血」を捨てるなんて恐れ多いことだ。・・・えええい、我が血となれい!(ゴクゴクっとね)

 そして葡萄ジュースが出回る秋が近づくと、『どういうわけか』スーパーなどでは砂糖とイースト菌があっという間に売り切れ状態となったというのです。『どういうわけか』砂糖やイースト菌の販売業者、葡萄ジュースの生産者は大儲け。この『不思議な現象』に対して、政府は黙認していたようです。


  -    Ψ    -    Φ    -    Ψ    - 



 人間と酒って、そう簡単に切れるものじゃないんですよね。



←ブログランキングです。ご協力お願いします。



「ブログ・ルポ」評価ボタン(どれか押してもらえると嬉しいです)
この記事に点数をつける
スポンサーサイト

ふむふむ、私の大好きなラフロイグにそんな過去があったとは・・・勉強になりましたm(__)m
2008.04.06 16:36 | URL | ルチル #I9hX1OkI [edit]
禁酒法時代は大変だったんですねー(>_<)そのおかげで、カクテルが一気に広まったらしいので、今となってはいいエピソードと言えるのかもしれませんね(^^)
フレッシュトマトを使った『ブラッディ~』を飲みたくなりました(*^^*)
2008.04.07 00:38 | URL | nao. #- [edit]
おじゃまします。
ワインのくだり、おもしろいですね。

最近私も、どんな困難?を乗り越えても
”飲みたい”飲んべえたちの気持ちがわかる
ようになりました。

ああ、余市が開け差しだ。
飲まないといけない。。。
2008.04.07 22:09 | URL | 7号リール(総統) #- [edit]
人類史上最たる悪法『禁酒法』
その禁酒法時代に大型密輸団を逮捕したら、
実はその元締めが元禁酒官だった。
とか警官が警察署の裏で酒を密売していた、
なんてこともあったとか。

人と酒を切り離そうなんて、
悪法、というより愚法、ですね。
2008.04.09 01:57 | URL | shinya #- [edit]
 私も初めて知ったときは面白かった内容だったので書いてみたのですが、みなさんのツッコミ所がそれぞれで、書いて良かったと思いました。


>ルチルさん

 アメリカではアイラ・モルトの受けはあまり良くないようですが、ラフロイグは別。こんな理由があったとは露知らず、って感じでした。


>nao.さん

 Bronx 【ブロンクス】、Orange - Blossom 【オレンジ・ブロッサム】、Bloody - Mary 【ブラッディ・メアリ】・・・アイデアって追い詰められたときとか、欲しいものが手元に何もない時にこそ生まれるっていう実例かも知れませんね。春めいてきたので、ビルド・スタイル以外のカクテルも作っていきたいです。


>総統さん

 禁酒法時代とか戦後の荒廃した時代には「何でもいいから飲みたい」って感じで、質よりむしろ量。飲み始めの大学生も、そんな感じですね。そこからちょっとしたきっかけで、質重視に変わると世界ががらりと変わる。(値段に関係なく)質の良い酒を、うまく飲んでいきたいものですね(コメント内容とちょっとずれた回答になってしまいしたが)。


>shinyaさん

 アメリカ禁酒法以外にも、いろんな国のいろんな時代の人が禁酒法を試みて、見事に失敗しています。『三国志』で有名な曹操も、劉備も、禁酒法を施行しようとして重臣にたしなめられています、「それは無理です」ってことなんですね(中国酒を扱う予定はないですが、古代中国の面白い「のん兵衛」エピソードはそのうち書いてみたいですね)。
 ”酔”は本能が求めるものなのでしょうね。
2008.04.09 21:05 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]
先日、教えて戴いたカクテル『アルゴンクィン』を飲んできました(^^)/
当ブログにアップしましたので、お暇な時に遊びにきて下さいm(__)m
2008.04.25 07:42 | URL | nao. #- [edit]


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://ktka.blog56.fc2.com/tb.php/236-b07e74d3

プロフィール

倖成卓志

Author:倖成卓志
 いざ、霊薬【エリクシル】を求めて・・・

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。