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Cocktail - 第27回 カクテル・コレクター(The cocktail - Collector)

Posted by 倖成卓志 on 26.2008 悠久のカクテル 4 comments 0 trackback
 ウィスキーがベース(基酒)となっているカクテルというのは、思いのほか多くはありません。

 いくつか理由は考えられますが、他人に話した時に最も納得してもらえた回答に、「ホワイト・スピリッツ(無色蒸留酒)に比べて、ウィスキーは完成度が高く、他のものを混ぜるとかえって美味しくなくなる」というのが上げられるでしょう。要は、そのまま飲んだ方が良いということ。
 ホワイト・スピリッツはたいてい、そのままでは飲めません。私はジンをそのままストレートで飲むのを好みますが、ウオツカ、ラム、テキーラとなると、果実などで香り付けされたりカラメルで甘みをつけたりしたものでない限りは、ほとんどそのままでは飲みません。逆にそのアルコール性の強さはジュースなどで割ったときにもかき消されず、そこに新しい味わいを生み出してくれます。
 それに比べれば、ウィスキーやブランデーは十分そのままで飲むことが出来、かつ、シェークで他の飲み物と一緒に激しく揺さぶるとせっかくの味わい、香り、旨みが壊れてしまうこともあります(例外的に、バーボンやライ・ウィスキーはシェークしても味や香りが壊れにくい頑丈さがあります)。

 ジン・ベースなら軽く2桁、他のホワイト・スピリッツでもかろうじて10種類弱、「これは旨いよ」とお勧めできるカクテルがあります。
 しかし、ウィスキー・ベースとなると、私としては「これぞ最高」と呼べるものは、今のところわずかに3つ(将来増える可能性もありますが)。何とかお勧めできるものも、五指に足りるかどうかというところかも知れません。

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Old - Pal
Old - Pal 【オールド・パル】

 基酒:Rye - Whisky 【ライ・ウィスキー】
 技法:ステア
 度数:24度
 グラス:カクテル・グラス

 レシピ
 Rye - Whisky 【ライ・ウィスキー】 1/3
 Dry - Vermoute 【ドライ・ヴェルモット】 1/3
 Campari 【カンパリ】 1/3

 「古き友」、「親しい間柄」という意味のカクテルです。アメリカ特有の、ライ麦から作られたライ・ウィスキーと、イタリアの苦味リキュールであるカンパリという、国を超えたコラボレーション。コクがあり、ちょっぴり苦く、大人向けのカクテルで、初めて飲んでも何だか郷愁の想いを呼び起こされる、不思議な味わいです。
 もしかすると、これはあくまでも想像ですが、これを作った人は西部開拓時代のアメリカ人(というか、アメリカに移住した人)で、イタリアから来た人と深い絆で繋がれたかけがえのない友達になったのかもしれません。しかしやがて別れの時は訪れて、無情にも月日の流れは止まることなく、自らの老いを感じた時に、「あの日々のことを決して忘れてなるものか」と、このレシピを考え付いたのかも知れません。
 私のまさに一押しで、今までにも何度も登場していますね。

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Manhattan

Manhattan 【マンハッタン】

 基酒:Rye - Whisky 【ライ・ウィスキー】
 技法:ステア
 度数:32度
 グラス:カクテル・グラス

 レシピ
 Rye - Whiskey 【ライ・ウィスキー】 3/4
 Sweet - Vermoute 【スウィート・ヴェルモット】 1/4
 Angostura - Bitters 【アンゴスチュラ・ビターズ】 1dash.
 
 アメリカ・ニューヨーク市のマンハッタン島の名を冠したカクテルです。「カクテルの女王」、「The Queen of Cocktails」などと称される、見た目も美しいカクテルで、まだカクテルのことを知らない女性をバーへ伴った時に、彼女のためにバーテンダーさんに頼むお勧めの一品です。見た目の透明感と、グラスに沈むマラスキーノ・チェリー、「女王」という呼称が艶やかを際立たせてくれます。もっとも、度数は高いほうで、1杯で酔ってしまいそうですね。
  バーで勤めていた、後にチャーチルの母となる女性が作ったという説がひとつ。傷を負ったガン・マン(猟師)のために、気付け薬として出されたものという説とがあります。
 「マンハッタン」という言葉自体に「酔っ払い」という意味があり、一説では、マンタッハン島を所有していた先住民の首領と領土の交渉をしていた移住民の代表者が、首領を酒で酔わせて契約書にサインをさせ、後に首領が契約無効を訴えて「マンハッタンだったんだ!(酔ってたんだ)」と叫んだのが、この土地の名前の由来とされています。

 ライ・ウィスキーをスコッチに変えたものが、18世紀にスコットランドで実在した義賊、「赤毛のロバート」ことロバート=マクレガーの愛称の名前を与えられた、Rob - Roy 【ロブ・ロイ】。これは、数多くのカクテルを生み出したバーテンダーとして知られる Harry Craddock 【ハリー=クラドック】がサヴォイ・ホテルにて、毎年11月に開かれる聖アンドリュー祭のパーティーで出したものです。基酒を変えるだけ、という単純なアイデアだけに、大きなパーティーでスッと出してみせたのは自信の表れですね。そこは彼の世界。


 とりあえず、最高の3杯のうち2杯がこれらです。

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 さて、「最高」と言っているのにもかかわらず、なぜひとつではないのか。

 最高とは言葉の通り、「最も高い(ところにある)」もので、たとえ百人、千人、1万人とあろうとも、その頂点たるひとつこそが「最高」。

 スポーツは、最高はひとつだけです。
 たとえば、100M走で現在一番速いのは誰か。ジャマイカの Usain Bolt 【ウサイン=ボルト】 選手です。2008年8月16日に出した、9秒69というタイムです。
 ここで仮に、ナントカさんという人が「俺の方が速い。100Mってのは何なのかよく分からんが、とにかく俺は世界一速いんだ」と、ただ闇雲に叫んだとしても、はっきりとしたものがなければ信憑性がありませんね。その「はっきりしたもの」が、この場合はタイム、つまりかかった時間ですね。ナントカさんが計測してもし9秒50で走れれば、確かに世界一ですし、10秒かかったならボルトさんの方が世界一ということです。なぜ断言できるかといえば、時間という「厳密」で、「客観的に」「具体的に」判断できるものがあるからなのです。
 これはどの競技でも変わりなく、たとえばプロ野球でも、シーズン中の1位は最も勝利数を上げたチームのことで、「俺は巨人が嫌いだから、1位とは認めない。阪神が大好きだから阪神こそが1位になるべきだ」と言っても始まりません。考えて見れば、1位の条件は必ずしも勝利数だけではありませんね。一番ホームランを打ったチームとか、点数を多く取ったチームとか、点数を一番取られなかったチームとか、そういう数値を上げれば巨人が必ず1位になるとは限らないのですが、「勝利数で決める」という厳密なルールがある以上、1位の座は揺るがないのです。

 しかし、このルールが適用されない分野もあります。
 たとえば絵画の世界。ある人は「ピカソが世界一だ。他の画家なんか比べ物にならない」と言い、ある人は「ゴッホこそ最高」と言い、ある人は「レンブラント以外は画家とは認めない」と言い出したりします。では、誰が世界一なのか決めようとしても、これは無理な話です。100M走のタイムや野球の勝利数のような、厳密で絶対的なルールがないからです。一番大きな絵を描いた人とか、絵の中で一番多く人間を描いた人とか、色を一番多く使った人とか、狭いルールの中でなら1位を決めることができなくはありません。しかし、「一番大きい絵を描いたから、世界一の画家だ」と言っても、世界一の画家の具体的な条件というものがない以上、「一番大きい絵を描いた人」と認められても「だから世界一だ」と叫んでも他人を納得させることは難しいでしょう。

 「好き嫌い」は別です。
 「阪神が一番好きな球団だ。今年は1位になれなかったが、それでも阪神は世界一の球団だと思っている」。そう思うのは自由です。同じように、「ダリが一番好きな画家だ」とか「モネが世界一だと信じている」。そういう感情を持つのも自由です。
 では何が違うかというと、「主観的」で「抽象的」ということです。
 計測して客観的な数値をはじき出すことが出来ても、その数値が重視されていなければ意味がないということです。
 100M走のタイムや野球の勝利数は、基準として重視されていますが、絵の大きさや色の多さは重視されていません。総合的な評価に頼るしかありません。

 つまり、長くなりましたが、カクテルも絵画と同じような分野です。
 度数の一番強いカクテルを探したり、作ったりするのは可能で、「これが一番度数の強いレシピだ」と主張することはできても、「これが世界一のカクテルだ。他は評価外」と言っても納得させるのは難しいでしょう。「度数の強さ」は客観的で具体的なルールなので、その中では認められても、カクテル全体として1位になる条件にそれが含まれていない(万人に認められているわけではない)以上、異論は出てきます。人によっては「そんなのはアルコールがきつくて飲めない。Gimlet 【ギムレット】が世界一だ」とか「辛いのは嫌い。甘くてこってりとした方がいい」「ロング・スタイルでスッと飲めるのが好き。気取って飲むようなスタイルは認めない」・・・つまり、自分ではこう思う。自分では信じている。自由気まま。データはむしろ野暮。
 カクテルの人気ランキングも「票数」という具体的なデータによるもので、意味がないわけではないのですが、結果のひとつというだけのことで、こだわる必要はありません。「ランキングでは1位かも知れないが、自分は別のカクテルが一番だと思っている」と主張して一向に構わないのです。
 上記の、オールド・パルは苦味が強いので、「こんなのはちっとも美味しくない」という人もいるでしょう。「マンハッタンは『カクテルの女王』なんて呼ばれてるが、味わいが優しくない。私はこんなものは認めない」という人もいるでしょう。
 もちろん、自由です。そして、私が最高だと思うこと、これも自由です。

 どちらかを1位に決めなさいと言われれば、何らかの条件のもとで決めることは可能かも知れません。しかし、もう片方は絶対に2位かというと、それは困る。レンブラントの『夜警』とモネの『睡蓮』を並べられて、「どちらが優れているのか決めて下さい」と言われているようなもので、「ではもう片方は劣るということでいいですね?」などと念を押されたら「いや、絵画という分野では同じかも知れないが、描いている対象が全然違うから優劣を付けられても困る。今の気分ではこっちが好きというだけで、明日は違うかも知れない。あさっては全然別の作品の方がいいと思えるかもね」と答えるかも知れませんね。

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 どちらが本題か分からなくなりそうですが、とりあえずもうひとつ。最高の部類には入れてないですが、面白いカクテルなので、試してみたいかたはどうぞということで。

Ladies' - Cocktail

Ladies' - Cocktail 【レディーズ・カクテル】

 基酒:Rye - Whisky 【ライ・ウィスキー】
 技法:ステア
 度数:37度
 グラス:カクテル・グラス

 レシピ
 Rye - Whiskey 【ライ・ウィスキー】 1glass.
 Pernod 【ペルノー】 2dashes.
 Anizetto 【アニゼット】 2dashes.
 Angostura - Bitters 【アンゴスチュラ・ビターズ】 2dashes.

 グラスの淵にカットしたパイナップルを飾ってできあがり。
 「女性のカクテル」という名前とは裏腹に、ライ・ウィスキー1杯そのままと、強烈な薬草系リキュールをアクセントに用いているため、かなりの度数と辛口のカクテル。マンハッタンが、一口、二口と飲んでいるうちに酔いが回ってくるのに比べて、こちらは一口目でいきなり激しい攻撃を受けるので、お酒にあまり強くない人には勧められません。
 なぜこんな名前が付いたのかというと、あくまでも想像ですが、とあるバーに、とある常連の女性が珍しく男性を伴って訪れた。二人はカウンター席に腰を落として、さて何を頼もうかというときに、バーテンダーは女性が戸惑っているように思えた。というのもこの女性、普段は一人で来ているのだが、ウィスキーはストレートで、薬草系リキュールや強めのカクテルをがんがん呷る酒豪なのである。しかも、甘いものは苦手ときている。今回は初めてのデートなのだろう、酒は嗜んでいても酒に強いという印象をもたれるのはあまり嬉しいことではない。かと言って、女性だからとカシス系の甘いカクテルを頼まれても、それはそれで困る。そんな雰囲気を感じ取ったバーテンダー、咄嗟に思いついて「レディース・カクテルという新作があるのですが、いかがでしょうか」と。男性は「いいネーミングですね。では彼女にはそれを」と答えたが、女性は内心穏やかではない。甘ったるそうなイメージに、不安でたまらない。何でそんなものを勧めるのかしら、とバーテンダーを睨み付けたい気持ちをこらえている。変なの出したら承知しないわよ、と。しかし出てきたそれは、一口飲んで彼女を満足させるに十分だった。
 「どうだい、味の方は?」
 「ええ、美味しいわ。でも、私にはちょっと強いかもね。ふふふ、すぐに酔っちゃいそう」
 「ここはとっとも感じのいいバーだね」
 「そうね。最高の・・・本当に最高のバーよ」

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 最高の最後のひとつは次の機会に。




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確かにウイスキーはそのまま戴いた方が、香りなどの個性を楽しめますね。あまりウイスキーベースのカクテルは戴きませんが、夏場はミントジュレップ、冬はアイリッシュコーヒーなどが好きです。
そろそろ一生付きあえるようなウイスキーを探す旅に出ようかと思っています。まずはジャパニーズウイスキーから
2008.10.27 00:08 | URL | nao. #- [edit]
はじめまして。

なかなか、カクテルの名前を覚えられないですが
由来まであわせて説明してもらえると、
少し覚えたような気分になっています。

ウイスキーベースのカクテルは、ハイボールや、
マミーテイラーなどの、炭酸の入ったものしか頼んだことがありません。

せっかく完成されたウイスキーの味と香りがバラバラに
なってしまうような気がして、もったいなくて。

長々とコメントしてすみません。
また寄らせていただきます。
2008.10.28 01:00 | URL | KEI #- [edit]
栗色の息吹は、(ブランデーを含めても)ウイスキーベースのカクテルを飲んだことがありません。

倖成さんのように深く考えているわけではないですが、飲みたいと思わないのは、ウイスキー単体で充分だからかもしれませんね。

しかし、今回のお話でレディーズ・カクテルには興味がわきました。
カクテルの由来に思いをはせるのは楽しい飲み方ですね。

最後の一つのエントリーも期待してます。(^^)
2008.10.29 09:56 | URL | 栗色の息吹 #OARS9n6I [edit]
 ウィスキー・ベースのカクテルは作れない(あるいは作りたくない)というバーもあるぐらいで、カクテル・ブックにおいてもせいぜい「ウィスキー・ハイボール」「マンハッタン」「オリエンタル」あとは少々のマイナー名で項を埋めているものもあるぐらいで、一般にに「ウィスキー・カクテル」と言われてもあまりピンと来ないのも致し方ない一面もあるわけでして。

>nao.さん
 ウィスキーは渡り歩けば歩くほど、個性の違いに驚かされます。アメリカン(バーボン、コーン、ライ)、スコッチ(モルト、ブレンデッド、ヴァテッド)、アイリッシュ、カナディアン、そしてジャパニーズ、さらにはマーナーな国のもの。どれかひとつに心底惚れ込むか、あるいは各々の個性を楽しむか。多く触れ、何か感じることができればいいですね。

>KEIさん
 はじめまして。カクテル名は年号や英単語のように闇雲に暗記するのもひとつの手ではありますが、その名にどういう意図があるのか、どういう意味なのかに関心を持つと、いつの間にか覚えてしまっている場合が多いです。もちろん、まったく意味不明な名前のものもありますが。
 「熟成」により完成度の高まる、ウィスキーやブランデーに「混成」させる意味はないように思えますが、それでも敢えて作りたくなってしまうのは、そこに新たな世界が垣間見えるような気がするからかも知れません。

>栗色の息吹さん
 「何かお勧めは?」の問いに、無難な答えはジンかウオツカがベースのカクテルでしょうね。ブランデー・ベースのものもちょいとクセがあって、万人向けあるいはお勧めとなると、サイド・カーかアレキサンダーか。だからこそ、今回の記述に至ったわけなのですが。
 そして、カクテル名の意外な由来や意味などもまた楽しいものです。実地で(?)使えそうなネタはどしどし使ってもらって構いませんからね(笑)。
2008.10.31 20:36 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]


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