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Whisky - その8 赤い刻印の男(The Man with the Red Tattoo)

Posted by 倖成卓志 on 11.2009 至福のウィスキー 0 comments 0 trackback
 アメリカ・ケンタッキー州の、ドライヴ・コースで有名というと聞こえは良いが、単なる「ど田舎」に住んでるビル(うわ、今年で69歳か!?)から、新年の贈り物をいただきました。
Maker'sMark(coaster)

 パッと見た目には「何じゃこれは?」と言いたくなる形ですけど、丸くないコースターというのもなかなか味わいがあるものですなあ。

 Thank you , Bill!
 God Be With You! God Bless You!

 えっ、ビルってどんな人なのかって?
 ビルの姓名は、Bill - Samuels 【ビル=サミュエルズ】といいます。オヤジさんも同じ「ビル」なので、「Jr. 【ジュニア】」と呼ばれています。
 そして彼が手がけているお酒が、

Maker'sMark

Maker's Mark
 【メーカーズ・マーク】


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 まず、アメリカン・ウィスキーひとつ「Bourbon 【バーボン】」とは何か?

 18世紀末のアメリカ。バプテスト派の牧師の一人に Elijah Craig 【エライジャ=クレイグ】 という人がいました。元々はヴァージニア州の出身だったのですが、「説教と称して、風紀を乱した」という罪で収監されてしまい、その後はケンタッキー州バーボン郡、後にフランクフォートへと移住します。そこで事業を始めた彼は、その一環としてウィスキーの製造も手がけていくことになります。ジョージタウンに蒸留所を建設したのは1789年、フランスで革命が起きた年ですね。
 このことから、クレイグ牧師は「バーボンの父」と呼ばれるようになります。

 バーボン・ウィスキーの定義は、

 1:主原料はとうもろこしで、51%以上80%未満であること。ちなみに、80%以上のものは「コーン・ウィスキー」となります。
 2:蒸留の際は160プルーフ(80度)以下、熟成の際は125プルーフ(62.5度)以下であること。
 3:熟成に使う樽は、内側を焦がした新しいホワイト・オーク(樫 【かし】)であること。
 4:原酒に水以外のものを加えてはいけない。

 一般に原材料として用いられるのは、大麦、小麦、ライ麦などです。

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 さて、メーカーズ・マークです。

 一番の特徴は赤い封蝋で、これがボトルの胸の部分に飾りとして付けられているものは他のお酒でもよく見かけますが、ボトルの頭部をすっぽりと覆っているものは珍しいのではないでしょうか。これは勿論、中身が他の誰かの手に触れられる(すりかえられる)のを防ぐためのもので、プラスチックなどがなかった頃の名残といえるでしょう。
 お店に瓶が何本か並んでいるのを見たら、じっと目を凝らしてみてください。この赤い冠(レッド・トップ)の形が、同じものなどひとつもないことに気づくかもしれません。なぜなら、この封蝋は機械ではなく手作業で行われているためで、この作業をしている女性たちの利き手やクセなどによって、ひとつひとつが異なるものになっていくからなのです。
 なぜ、機械を使わないのでしょうか、その方が手早いのに。

 さて、このバーボンを造ったのは Bill - Samuels 【ビル=サミュエルズ】です。現在のオーナーも同じ「ビル」なので、現在のビルを「Jr.」と言い表します。この先、創設者のビルを「シニア」、現オーナーのビルJr.を「ビル」と言い表していきます。

 シニアが蒸留所を購入したのは1953年のことです。
 蒸留所はケンタッキー州でも Loretto【ロレット】という「ど田舎」にあり、メーカーズ・マーク蒸留所ぐらいしかなく、あとはブルー・グラス(Blue Grass Parkway)をドライヴする以外に目的のないような場所とまで言われているようです。その蒸留所からして、ケンタッキー州では最も小さく、後にビルが述懐してるのですが「父の仕事は趣味の範囲を出ていなかった」と言わしめるほど規模も小さく、本来ならとっくに消滅していてもおかしくない蒸留所だったのです。さらに、息子(ビル)はUCLAのバークレー校で宇宙航空学を学んでロケットの開発技術にも携わったことがあり、その後には弁護士を目指すなど、当初はウィスキーと関わる気など全くなかったことを合わせると、このバーボンは現在では幻となっていた可能性は十分高かったと言えるでしょう。ビルがなぜ、父の跡を継ぐ気になったのかは分かりません。まあ、いろいろあったということで。


 さて、先ほどの「なぜ、機械を使わないのでしょうか」の答え。
 ビルが述べましたね、「父の仕事は趣味の範囲を出ていない」。ビジネスとして割り切らないシニアの思想によるものなのです。
 「バーボンウイスキーは機械づくりではなく、人間により少量を手づくりですべきだ」

 さて、シニアのこだわりは随所で見られます。そのほとんどはビルに継承されています。
 まずは、先ほども書いたように、バーボンはトウモロコシが51%以上で、あとは各種の麦を使うのですが、大麦の他に「冬小麦」というものを使います。
 冬小麦は、秋に種を撒いて、越冬し、夏に収穫するものをいいます。逆に、春に撒いて、夏を越し、秋に収穫するものは「春小麦」といいます。では、どう変わるのかというと、冬小麦は春小麦に比べ、糖度が低い。これは醸造・蒸留させたときに、一体どうなるのかというと、アルコール度数があまり上がらないということです。
 ワインで補糖が行われると(その量に厳しい制限がありますが)、酵母がその糖分を分解して、アルコールを作り出し、これによってワインのアルコール度数を一定のレベルまで引き上げることができます。ブドウと小麦を同等に扱うことができるか分かりませんが、少なくともアルコール度数はそれほど上がらない。
 では、冬小麦を使う理由は何かというと、考えられるのは「香り」です。春小麦に比べて香りが強くなるため、これを前面に押し出せば、味わいの面でも香りの面でもまろやかさを出すことができると思われます。

 さて、湧き水には普通、さまざまなミネラルが含まれるものなのですが、鉄分を含まない石灰質のそれは、「ライムストーン・ウォーター」と呼ばれ、非常に希少なものらしいです。
 推測ですがM石灰質ということはカルシウムが水の中に溶け込むということなのでしょうか? 弱アルカリ性に傾いて、喉越しが良くなるということなのでしょうか?鉄分が多すぎると、水が濁ったり味が悪くなったりと、そのぐらいなら分かるのですが、いかんせん、地質学や化学は苦手なので断定はできません(上の小麦の解説とは雲泥の差ですな)。もうしわけない。

 いずれにせよ、選び抜いた麦と、恵まれた水質に支えられていることは間違いないようですね。

 また生産量が極めて少ない。バーボンは平均して1バッチ(1日)当たり200樽程度ですが、メーカーズ・マークでは19樽だけです。手作りゆえに大量生産が出来ないためです。


 実はまだまだこだわりの部分があるのですが、これ以上やると、ウィスキーの醸造・蒸留法についての講座になってしまうので割愛します。発芽から醸造、蒸留、糖化などの過程について述べると、本当に長くなるのです。ディアジオの「Malt Master」の称号を得る時に、いやというほど仕組みを学習したのですが、それでも分かりづらい部分がありますし、そういうものにあまり興味のない人には、それこそさっぱり分からないものになってしまうおそれがあるからです。第一、ウィスキーを造りたいという人のためでなく、飲みたい人のための内容なので、ここまでということで。

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 余談として付け加えるなら、この名前と、独特の形をしたボトルとラベルは、シニアの妻(つまりビルの母)のマージー=サミュエルズが考え出したものです。名前はそのままずばり「製造者の刻印」。銀細工などに、製造者が刻印する証のことです。
 ボトルも少々変わっていますね。首が長く、なで肩からそのままストンと四角に落ちている。どうしてこうしたのかは、実はよく分かりません。マージーの美的感覚の賜物なのでしょうか。

Maker'sMark(label)

 ラベルにある「☆」と「SⅣ」の印は何かというと、「S」はサミュエルズの頭文字。「Ⅳ」というのは、実はサミュエルズ家の先祖であるT.W.サミュエルズが蒸留所を創設していて、そこから数えると、シニアが4代目という意味なのです(酵母のみは7代にわたって継承されているようです)。もっとも、シニアはロレットの蒸留所を買い取って酒造りを始めた際にはすでに伝統のレシピを破棄しているので、サミュエルズ家の酒造りとしては4代目でもメーカーズ・マークとして初代なのですけどね。星のマークは蒸留所のある場所が「スターヒル・ファーム」と名付けられていることから。☆とSⅣを囲む円は、サミュエルズ家の酒造りが代々続けられていることを示し、円が途切れている部分は、禁酒法時代などで一時期生産を中断していたことを表しているらしいです。


 余談でもうひとつ。
 ウィスキーの綴りには「whisky」と「whiskey」とがあります。「e」のあるなしです。
 ◎whisky → スコッチ
  日本のウィスキーはスコッチを手本としているため、この綴りになります。

 ◎whiskey → アイリッシュ
  バーボンの多くも、この綴りです。先祖がアイルランドからアメリカに移住し、ウィスキー会社を作ったとされるところはこちらになります。

 メーカーズ・マークは、バーボンなのに前者です。サミュエルズ家がスコットランドに先祖を持つことが理由です。

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 味わいは、すでに書いたように、「まろやか」なのが特徴です。ただし、コクがないわけじゃない。ただ、普通はコクがあるお酒というと、喉が詰まるようなエグみを伴うものなのですが、これはそれがなく、意外にスッと喉を通り過ぎていってしまいます。あとは、強いのに優しく包み込まれた香りが残る。ライ麦の押し寄せるようなそれと違って、少し柔らかいパンのような。

 レイモンド=チャンドラーの創作した探偵フリップ=マーロウが早朝、コーヒーにバーボンを垂らすシーンを見て、「アメリカ人は何を考えてるんだ。香りもコクもぶっ飛ぶじゃないか」と思ったのですが、メーカーズ・マークでこれをやったら、グッとコクが出て良い感じになりました。もっとも、朝に卵やベーコン、ブレッドと共に飲む熱々のブラック・コーヒーに、気付け薬のつもりで入れる程度、それ以外での味の保障はしませんけどね(笑)。

  -    Ψ    -    Φ    -    Ψ    - 


 メーカーズ・マークの蒸留所へ行きたいと思った方へ。

 スケジュールは、
 ①月曜日から土曜日: 午前10時30分から午後3時30分まで。1時間おきに計5回。
 ②日曜日: 午後1時30分、午後2時30分、午後3時30分の計3回。

 交通の便
 ①ルイスビル経由
  ルイスビルから南に向かうインターステートハイウェイ65に入り、112番出口(クラモント/バーンヘイムフォレス出口)でハイウェイを抜けます。ランプで左に折れ、ハイウェイ245を南にバーズタウンまで進みます。ハイウェイ245をハイウェイ62との交差点まで進んだら右折し、ハイウェイ150に合流するするまでハイウェイ62を東に約2マイル進みます。合流地点に来たら左折し、約2マイル進んで、マイオールドケンタッキーホーム州立公園を通り越します。ハイウェイ150とハイウェイ49の交差点に達したら、ハイウェイ49に右折して南に進み、ホーリークロスへと至る茶色の史跡案内標識の指示に従い、ハイウェイ527まで南に直進します。ハイウェイ527をセントフランシス(5マイル)まで進んだら、ハイウェイ52に左折し、ロレットを目指して東に進みます。そこからロレットまで約3マイルです。バークススプリングロードの端まで来ると、「メーカーズマークへようこそ」という看板が見えます。約1時間のドライブです。

 ②レキシントン経由
  西に向かうブルーグラスパークウェイを出口42番のスプリングフィールドまで進みます。ハイウェイ555へ南に向かって左折し、スプリングフィールドへと進みます。ハイウェイ555と150の交差点に来たら右折して、ハイウェイ150を西に約2マイル進みます。そこから西向きにハイウェイ152を右折し、ハイウェイ49へと進み、ロレットに至るまで南に進みます。信号でハイウェイ52に左折し、約3マイル東に進みます。バークススプリングロードの端まで来ると、「メーカーズマークへようこそ」という看板が見えます。約1時間のドライブです。

 ③ナッシュビル経由
  エリザベスタウンに向かってインターステートハイウェイ65を北に進み、東に向かうブルーグラスパークウェイへと進みます。ブルーグラスパークウェイをバーズタウンまで進み、21番出口でハイウェイを降ります。北東に向かうハイウェイ31に向かう出口で左折し、バーズタウンまで進みます。この道は、セントジョセフ聖堂の前でハイウェイ62と合流します。郡庁舎方向に右折し、ハイウェイ150に合流するまで道沿いに進みます。マイオールドケンタッキーホーム州立公園を通り越してハイウェイ49をホーリークロスに向かって南に進み、ハイウェイ527でセントフランシスまで進んだら、ハイウェイ52に左折して東に進むとロレットを抜け(約3マイル)、バークススプリングロードへと出ます。バークススプリングロードの端まで来ると、「メーカーズマークへようこそ」という看板が見えます。約3時間のドライブで、途中で時刻変更線を通過します。ナッシュビルはアメリカ中部時間、ロレットは東部時間で中部より1時間進んでいます。

 ちなみに、書いていても分かりません(笑)。サイトの解説丸写しです。日本からは、飛行機でシカゴまで行き、そこからルイビル(「ルイスビル」とも。綴りは"Louisville")へ乗り継ぎ、レンタカーなどで移動するのが主流らしいです。
 
 サイトにはあとふたつ、Q&Aが載っていました。

 Q.団体の蒸留所見学は可能ですか。
 A. 10名以上の場合は事前に見学者センター(270-865-2099)までお知らせ下さい。

 Q.メーカーズマーク蒸留所で結婚式を挙げられますか。
 A. 残念ながら蒸留所で結婚式をすることはできません。

 とのことです。

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 アイラのスコッチ・モルトが好きな自分としては、バーボンはそれほど好みではないのですが、それらの中で挙げるなら、この1本になります。初めて見たときは、赤い封蝋の印象が好みではなかったので敬遠していたのですが、飲んでみたらコクがあるのにスッと飲めて、良い印象のものになりました。

 まあ、分かっているとは思いますが、ビル=サミュエルズと個人的な親交があるわけじゃありません。ネット会員になったら、アンバサダー(大使)の称号と、樽をもらいました。日本語の証明書付き。どれかひとつの樽のプレートに「T.Koujou」と入ることになります。
Maker'sMark(certificate)
 と言っても、1つの樽は30人の大使によって管理されることになる(プレートに30人の名前が入るのかな?)らしいので、個別に貰うことはできないし、蒸留所の見学は可能でも、法律によって一般の人は蔵へ入ることはできないので、直接樽を見ることはできない・・・と書いてしまうと、ありがたみが少々薄れるけれど、名誉ではありますね。社員の人たちは樽を見て「これは誰誰の樽だな」と感じながら作っている、そう思えるだけでも嬉しいことです。
 ついでに新春ということでコースターまで贈られてきたというわけです。

 メーカーズ・マークが最初に輸入された国は日本です。日本のとある自動車メーカーの社員が工場を視察して、お土産として買っていったものが日本で話題を呼んだのがきっかけとのこと。封蝋が黒いものが一時期だけ、日本限定で作られたこともあり、とても親日的な雰囲気のあるバーボンでもあります。




↑ 楽天さんです。意外と詳しい情報にびっくり。最初に参考にしておけばよかった・・・。




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