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Brandy - 第2回 既知の傑作(Le Chef-d'œuvre connu)

Posted by 倖成卓志 on 18.2009 豊饒のブランデー 0 comments 0 trackback

Hennessy V.S.O.P Privilege

Hennessy V.S.O.P Privilège
【ヘネシー V.S.O.P プリヴィレッジ】

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 ヘネシーは、Cognac 【コニャック】です。コニャックとは何か、について細かいことは次の機会にて。
 時折誤解されているのが、「コニャック = 高級ブランデー」。つまり、コニャックとは高級ブランデーの別称である、あるいは逆に、高級ブランデーがコニャックと呼ばれる、と。
 そうではありません。

 まず、ブランデーとは、果実を原料とした蒸留酒です。
 ブドウを原料としたものは「グレープ・ブランデー」と呼ばれ、これが一般に「ブランデー」と言い表されるものです。
 他の果実を使ったものは「フルーツ・ブランデー」で、リンゴ(カルヴァドス、アップル・ブランデー)、さくらんぼ(キルシュ)、すもも(ミラベル(黄すもも)、クエッチ(紫すもも))、洋梨(ポワール)などがあります。
 他にはワインの絞り滓から造るマールやグラッパ、イタリアのウヴァ、チリのピスコ、ギリシアのチプロなどがあります。こちらはむしろ地酒なので、あまり聞きなれない名称ですね。

 16世紀頃、フランスのワインを買い付けに来るオランダ商船の主な行き先は、シャンパーニュやボルドーなどの優れたワインの産地でした。シャラント県コニャック市はフランスの西側にある、海に面した港町であり、上陸地として活用されていましたが、岩塩こそ取れるもののワインの産地としては不適切でした。コニャック産ワインの特徴は、酸味が強く、アルコール度数が低いということ。前者は、飲みづらい印象を与え、後者は保存が効きにくいということを意味しています。そこで、これを蒸留することを思いついたオランダ商人たちが、「焼いたワイン」という意味の「Brandewijn 【ブランデウェイン】」と命名して本国に持ち帰り、やがてイギリスに渡って英語読みの「Brandywine 【ブランデワイン】」となり、いつしかwineの部分が消えて、「Brandy 【ブランデー】」となったと言われています。
 別の説では、錬金術の一環としてワインを蒸留して霊薬とし、これに「温めたワイン」という意味の「Vin brule 【ヴァン・ブリュレ】」と名付けたとされます。これをオランダ商人が見つけてオランダ語に訳し・・・以下は先ほどと同じくだりになっていきます。つまり、蒸留したのがオランダ商人説と地元民説の2つに割れているというわけ。

 一方、ブランデーの呼称に使われる「コニャック」とは、大まか言えば、先ほど登場した南フランスのシャラント県にある市の名前で、この地域で作られたブドウを使い、一定の基準の下に造られたブランデーのみを指します。従って、コニャック市以外で作られたブランデーに「コニャック」の表示は許されていませんし、コニャックだからと言って高級ブランデーとは限らないのです。

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 さて、Hennessy 【ヘネシー】ですが、ブランデーを飲んだことのない人でもこの名称は有名なのでご存知の方も多いでしょう。
 1765年、Richard Hennessy 【リチャード=ヘネシー】というアイルランド人がフランスへ渡り、コニャック市でブランデーを造ります。当時45歳の遅咲きです。実際に会社として運営されていくのは2代目のジェームスからですが、この当時もまだ造られたブランデーは樽売りしていたのですが、4代目モーリスが自社で瓶詰めをして売るようになりました。ちなみに、ブランデーのランクのひとつ、「X.O」はモーリスの発案です。
 現在のオーナーは8代目で、モーリス=ヘネシーといいます。

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 現在のヘネシー社は「LVMH」と表されます。
 これはフランスのグループ企業で、1987年に作られたものです。その中核となっているのが、ファッション・ブランドのLouis Vuitton 【ルイ・ヴィトン】社、シャンパンのMoët & Chandon 【モエ・エ・シャンドン】社、そしてヘネシー社です。つまり、Louis Vuittonの「LV」、Claude Moët(【クロード=モエ】。モエ・エ・シャンドンの創業者)の「M」、Richard Hennessyの「H」で、「LVMH」となっているというわけです。(より正確には「LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton S.A.」となります)
 ついでに、このグループ企業には他にどんな会社が入っているかというと、シャンパンはMoët & Chandon 【モエ・エ・シャンドン】以外では、Veuve Clicquot Ponsardin 【ヴ-ヴ・クリコ・ポンサルダン】、Krug 【クリュッグ】、Ruinart 【ルイナール】。貴腐ワインのChâteau d'Yquem 【シャトー・ディケム】。ウィスキーはGlenmorangie 【グレンモーレンジ】。ポーランドのウオツカ、Belvedere 【ベルヴェデール】。
 その他は、ファッションなら、エミリオ=プッチ、クリスチャン=ディオール、ジバンシー、ケンゾー・・・。香水のゲラン、時計のタグ・ホイヤー、宝飾のデ・ビアスなど、名うての会社が勢ぞろい。

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 もう一度、話を戻して、ヘネシーです。

 自家のブドウ畑は620ha。蒸留所は28。その他に専属契約を結んでいるブドウ農家が20件。
 コニャックはAOC(Appellation d'Origine Contrôlée:原産地呼称統制)なので、産地や製造方法が厳しく決められています。決められている産地は6箇所で、ヘネシーはそのうち4箇所から採れるユニ・ブラン種という白ブドウを厳選し、蒸留して白ワインを作り出します。これを2段階蒸留して、原酒を造り出します。この原酒を、Eau de Vie 【オー・ド・ヴィ-】と呼びます。意味は「命の水」。
 ウィスキーの元となったウシュクベーハ、北欧のアクアヴィット、ウオツカの元の呼び方であるジーズナヤ・ヴァダーと全く同じ意味の言葉ですね。なぜか世界のあちこちで共通しているのです、不思議ですね。
 こうして造られた原酒は、樹齢80年から100年ほどの天然オーク(樫)で造られた樽に寝かせます。その総量は約25万樽。これらをブレンダーと呼ばれる職人たちが一定の品質になるように組み合わせ、製品化していくのです(ちなみに現在のマスター・ブレンダーはYann Fillioux 【ヤン=フィリュー】という方です)。この時、古い樽と新しい樽を組み合わせていくのですが、熟成年数は当然、新しい樽の年数となります。なぜ「当然」なのかというと、ブレンデッド・ウィスキーでも同様だからです。仮に10年以上熟成されたものを90%使用したとしても、4年熟成を10%でも使えば、4年熟成として販売しなければいけません。4年ものが混ざっているのに10年ものとして売ったら、詐欺です。酒をブレンドする世界での、これがしきたりです。

 V.S.O.Pは、等級(ランク)のひとつです。コニャックのランク付けはBNIC(Bureau National Interprofessionnel du Cognac:全国コニャック事務局)によって厳正に決められています。基準は熟成年数。
 ランクは下から、「☆☆☆」(2年)、「V.S.O.P」は、「Very」「Superior」「Old」「Pale」、「とても」「上質で」「長い時を経て」「澄んでいる」のことで、4年。「X.O」、「EXTRA」、「Napoléon」(6年)などです。
 ただし、これはあくまでも「年数の基準」というだけで、上のランクの方が必ずしも旨いとは限らないこと。さらに、普通のフレンチ・ブランデーは会社ごとに勝手にランクを決めているので、A社のナポレオンよりもB社のV.S.O.Pの方が割高で、高品質ということも決して珍しくはないので、あくまでも「参考程度」の名称となってしまっています。
(ところで、なぜフランスなのにV.S.O.Pの意味は英語なのでしょうね?)

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 さて、ブランデーはどうやって飲めばいいのでしょう。
Hennessy V.S.O.P Privilege(glass)
 普通は、ブランデー・グラスへ注いで、
Hennessy V.S.O.P Privilege(glass2)
 手のひらの中で、軽く振り回します。これは格好をつけているのではなく(ドラマなどでは意図的に演出しますが)、ブランデーの香りは閉じている(凝縮されている)ので、少し温度を上げる必要があるからです。
 これはヘネシー社のグラスですが、一般に売られているものは短めの足がついています。足の部分を中指と薬指で挟んで、底の部分を包み込むように持てばよろしい。あとはゆっくりと口に含むだけ。注意する点としては、一気に飲まないこと。
 アルコール度数は高いうえ、特にコニャックは香り成分を出すためにたくさんの白ワインを熟成させているので凝縮感が強く、こってりとしたコクの強さがあいまって、酒に強い人でも慣れていないとムセてしまうからです。

 さて、Privilège 【プリヴィレッジ】とは「特権」とか「特典」という意味です。特典という通り、非常に割安です(この品質のブランデーとしてはかなり割安)。
 コニャック特有の花のような軽やかな香りと、それでいてコクがあってまろやかな味わいは、まさにヘネシーです。少しハーブっぽいかな、森の中にいるような感じ。以前に飲んだことのあるX.Oはもっと花の雰囲気が強くて花畑のような気がしたのですが、滑らかさはこちらの方が上かも。先ほど、ムセてしまうと書いたのですが、意外とそうでもない。初心者向けかも知れません。でも、手抜きの品というわけではありませんからね。

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 話は変わりますが、中国は今バブル景気です。1980年後半から1990年代は、アジア一帯がバブル景気で、日本では1991年にその勢いは止まったものの、香港やマカオはそれ以降にむしろ成長を成し遂げていくのです。この頃のアジアでは、にわか成金たちが高級レストランで高級な食事を嗜むのがあたかもステータス・シンボル(社会的地位)の向上であるかのように言われ、ブランデーよりもむしろ高級ワインが多く入り込んでいきました。
 ところが、この成金たち、凝縮感の強い高級ワインに慣れていないせいでそのままでは飲めず、水を足すだけならまだしも、コーラを入れたり、ジュンジャー・エールを入れたり、シャンパンを足したりと、やりたい放題。そのため、「ワイン文化への冒涜 【ぼうとく】だ!」と、フランスを始め世界中が憤ったものです。

 ところが、現在のヘネシーのオーナー、8代目のモーリスが、
「お酒にも流行がある。ヘネシーのコーラ割りは第二次世界大戦の時にキューバで飲まれていたし、17世紀には、コニャックは水で割るロングドリンクとして飲まれていた」
 と語っています。
 実際、シャラント川沿いにある醸造所を見学すると(1時間おきにガイドさんが案内してくれるツアーがあるようです)、最後にテイスティングが出来るのですが、このとき、
「ストレートがいいですか。それとも、ジンジャー・エールで割りましょうか」
 と聞かれるらしいです。トニック・ウォーターで割ってもらったという人もいるようです。
 確かに、カクテルには「酒(種類問わず)+炭酸飲料」の「ハイボール・スタイル」。「蒸留酒+砂糖+炭酸飲料」の「スリング・スタイル」(例:ジン・スリング)。「蒸留酒+レモン・ジュース+ジンジャー・エール」の「バック・スタイル」(例:ジン・バック)などがありますが、主にジンやラムなどで行われ、ウィスキーやブランデーでは珍しい(作りたがらない、注文する人もあまりいない)。それを、コニャックの最大手が率先しているところが、ちょっと風変わりというか、自由闊達というか、面白いですね。





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 ブランデーです。コニャックです。
 ブランデーが好き、という人が減ってきているような気がします。新作カクテルでも、ウィスキーを使ったものは多くとも、ブランデーのそれはあまり見かけないような気がします。
 重厚な酒を1杯、じっくりと、ゆったりと飲む。それもまたひとつの楽しみ方だと思います。




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