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コニャックの話

Posted by 倖成卓志 on 28.2009 豊饒のブランデー 0 comments 0 trackback
 今回はどれかひとつのお酒を取り上げるのではなく、前回登場した「Cognac 【コニャック】」について、書いてみたいと思います。
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 初めに、ブランデーの成り立ちについてもう一度、復習します。

 16世紀頃、ワインの買い付けのためにフランスを訪れるオランダ商船は、西南部にあるシャラント県コニャック市の港町に上陸していました。ここのワインは、酸味が強くてアルコール度数が低いため、飲みづらく保存が効きにくいという弱点のため見向きもされていませんでした。

 ①オランダ商人命名説
 これを蒸留することを思いついたオランダ商人たちが、「焼いたワイン」という意味の「Brandewijn 【ブランデウェイン】」と命名して本国に持ち帰り、やがてイギリスに渡って英語読みの「Brandywine 【ブランデワイン】」となり、いつしかwineの部分が消えて、「Brandy 【ブランデー】」となった。
 ②地元命名説
 地元で元々、ワインを蒸留させていたものを「温めたワイン」という意味の「Vin brule 【ヴァン・ブリュレ】」と名付けていた。これを知ったオランダ商人がオランダ語に訳し、イギリスにもたらされて「Brandy 【ブランデー】」となった。

  いずれにせよ、蒸留されたワイン(=ブランデウェイン =ブランデー)がフランスからオランダ、イギリスへともたらされます。当初、オランダ人が持ち込んだアランビック(蒸留器)の質は悪く、そのままでは飲めない代物だったらしく、水で割ることでワインの味に近づけて飲んでいたようです。
 しかし、17世紀には蒸留回数を2回に上げることで、それまでよりも輸送に耐えうる品質のお酒へと変わっていきます。これはオランダ人が開発した技術だったのですが、当然ながら現地のフランス人もこの技術を習得していきます。これが現在にも受け継がれている、「シャラント型アランビック」(蒸留器)の開発へと繋がっていきます。
 また、ちょっとした偶然が起こります。ある時、ちょっとした行き違いで、ブランデウェインを詰めた樽を船に乗せるのが遅れてしまいました。そのため、いつもよりも長い時間、樽に入れられた状態のものが出てしまったのです。ところがこの樽のブランデウェインはいままでのものよりも遥かに旨い代物になっていたのです。これにより、樽熟成の手間が加えられるようになったのです。

 これ以降、ブランデーという新たなる蒸留酒は現在に至るまで歴史を紡いでいくのですが・・・。


 ・・・ワインを勉強している人ならよくご存知の、あの悪夢がフランスを始め、ヨーロッパ、やがては世界中に襲い掛かります。
 それは1864年のことでした。

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 かつてヨーロッパではワイン造りに非常に適した「ヴィティス・ヴィニフェラ」というブドウが広く使われていました。そして、まだ新大陸と呼ばれていたアメリカで自生しているブドウをフランスへと持ち込んだ人たちがいました。これは、今までにヨーロッパにはない品種を研究するのが目的でした。ところが、このブドウにはとんでもない「おまけ」が付いていたのです。フィロキセラでした。

 ブドウの根に寄生して、ブドウの木そのものを枯らしてしまうこの害虫は、それまでヨーロッパにはおらず、免疫のないフランスのブドウはあっという間に壊滅状態になってしまったのです。そしてそのまま、フィロキセラはヨーロッパ中を駆け巡り、さらにはアメリカへ再上陸、そこからさらにオセアニア、日本にまで広がることになってしまいました。
 特にボルドー地区では、絶望のあまり国を飛び出してしまう、ブドウ及びワインの生産業者たちの人たちが後を絶ちませんでした。彼らの多くはスペインへ渡り、リオハでワイン造りを始めることとなったのです。これが、スペインの高品質ワインとしてしられる「リオハ・ワイン」の先駆けとなったのです。

 ちなみに、現在ではどう対処しているのか。
 アメリカ原産のブドウには、このフィロキセラに免疫のある木がいくつかあり、これをヨーロッパのブドウに接ぎ木するという方法が採られてます。

 この時、多くのブドウと生産業者たちを失ったフランスでは、名称を偽ったワインや、質の低いワインが多く出回るようになってしまいます。1906年、政府は生産地を正確に表示するようにと法律を制定し、やがて生産地から生産方法まで厳しく基準を定めた1935年のAOC(生産地呼称統制)に至るのです。
 AOCを単なる権威付けだと思っている人もいるようですが、そうではなく、それが適正であることを証明するためのものなのです。別の見方で言えば、AOCだから旨いというわけでも、AOCでないから不味いというわけでもなく、単に「規格」のひとつと割り切ったほうがいいみたいです。

 ワインについて、単に銘柄やセパージュ(品種)だけでなく、歴史の勉強などを始めると遭遇する、このフィロキセラの話。日本の(とは限りませんが)「ワイン」の本ではどういうわけか、「ブランデー」の話へ行かないのが不思議です。当然ながらブドウの蒸留酒であるブランデーもこの影響を受けています。
 シャラントでは1874年にはフィロキセラが全土を覆い、18万haあったとされる畑は4万haまで落ち込みます。ワイン用のブドウが接ぎ木で害を免れたように、ブランデー用のブドウもフィロキセラに耐性のあるものへと変えられていきます。それが、現在最も使われている、Ugni Blanc 【ユニ・ブラン】種なのです。ちなみに、「サンテミリオン種」と紹介されているものもありますが、これは「St-Emilion des Charentes 【サンテミリオン・デ・シャラント】」のことで、ユニ・ブラン種の別名でもあります。つまり、同じです。
 1909年には、「Cognac」と名乗ってよい地域が限定されます。さらに1936年、AOCに制定されました。これにより、使われるブドウ品種、醸造・蒸留の方法などが細かく決められました。

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 ではもう少しだけ詳しく。細かく書くと長くなるので、できるだけ箇条書きで進めていきます。
 あらかじめ書いておきますが、名称ばかりが次々に登場するので、最初のうちは「ああ、そういうものか」という軽い気持ちで読み進めて行ってください。

 ブドウ品種:
 ユニ・ブラン種(コニャック全体の90%はこの品種)、Colombard 【コロンバール】、Folle Blanche 【フォル・ブランシュ】。
 その他、Jurançon blanc 【ジュランソン・ブラン】、Meslier Saint-François 【メスリエ・サン=フランソワ】、Montils 【モンティル】、Sémillon 【セミヨン】、Folignan 【フォリニャン】、Sélect 【セレクト】の6種類は原酒全体の10%以下。

 地域:
 シャラント・マルティム県、シャラント県、ドゥー・セーヴル県とドルドーニュ県のいくつかの地域。

 蒸留:
 蒸留は必ず2回。シャラント型アランビックを使う。連続式蒸留機の使用は禁止。2度目の蒸留でアルコール度数は72%を超えてはいけない。
 蒸留は収穫年の翌3月31年迄に終わらせなければならない。4月1日から翌年3月末日までをコント0とし、コント2以上(2年以上熟成)でなければ、出荷してはいけない。

 樽:
 トロンセ産、またはリムーザン産のオーク(白樫)のみ。
 オークの種類は用途によりセシル・オーク、コモン・オークを使い分ける。

 地区:
 「コニャック」という地方呼称の下に、以下の6地区が制定。
 Grande Champagne 【グランド・シャンパーニュ】
 Petite Champagne 【プティット・シャンパーニュ】
 Borderies 【ボルドリー】
 Bons Bois 【ボン・ボワ】
 Bois Ordinaires 【ボア・ゾルディネール】

 例外:Fine Chamapagne 【フィーヌ・シャンパーニュ】
 グランド・シャンパーニュとプティット・シャンパーニュのブレンド。ただし、グランド・シャンパーニュが50%以上。

 添加物:
 原則禁止。補糖も禁止(シャラント・マルティム県では禁止のうえ、証明書発行も義務付け)
 例外:希釈のための蒸留水及びミネラル分を除いた水。最終仕上げのための糖。カラメル。煎じたオークチップのエキス。
 
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 その他には、熟成年数表示もあって、
 2年以上
 ★★★、V.S.(Very Special)
 4年以上
 V.S.O.P(Very Superior Old Pale)、Réserve
 6年以上
 Napoléon(ナポレオン)、X.O、Hors d'âge(オール・ダージュ)

 ただし、これは「コニャック」の基準なので、コニャック以外でのフランチ・ブランデーでは会社ごとに勝手にランクを決めて、ラベルに表示しています。そのため、A社のナポレオンよりも、B社のV.S.O.Pの方が値段が高く、質も高いというようなことも起こります。酒屋さんなどで「特売! 最高級ナポレオンがたったの5000円!」という広告が打ってあっても、必ずしも質が伴うとは限りません、ご注意のほどを。

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 今回はあえて面白味をできるだけ省いて、学習一辺倒の回にしてみました。多分、一度や二度読んだぐらいでは分からないかも知れません。地域ごとの特徴や、樽の性格なども書き出すと、キリがなくなるのですが、興味のある方は調べてみるのもいいかもしれませんね。かなり大変ですけど。
 少なくとも「コニャックって、このぐらい厳しい基準の下で作られているのだな」とだけでも理解してもらえると良いのではないかと思います。

 次回は「寒中に嗜む酒」の続きで(まだネタがあるのですよ、はい)。

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