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エセワイン通が嫌がるワインの飲み方(2)

Posted by 倖成卓志 on 07.2009 言いたい放題 0 comments 0 trackback
「『ワインは芸術品』らしいわねぇ。ああ、もう、ムカつくぅ!!」
 勢いよく店の中へ入ってきた彼女はカウンターに腰を落とすなり、テーブルに拳を打ちつけてそう叫んでいた。
「大学のサークルでさ、みんなでお酒とか持ち寄ったわけ。でね、○○の持ってきたワインがさ、これがクドくてウゲッって感じ。喉ン中がギュって締まって気持ち悪くなるし、もう、すっごいマズいの。でも、なんかそこそこ高いワインらしくて、捨てるのもったいないじゃん。だからアタシ、水で薄めたの。そしたら飲みやすくなったの。分かる? 飲めなかったんだから仕方ないじゃない。でもさ、飲みやすくなったからいいじゃない。分かるよね?」
 いきなり『水!』と叫んで、まだ20代前半を思わせる若い店主は慌ててグラスへ水を注ぐと、彼女の手元にそっと置いた。
「そしたら、『ワインは芸術品だ』とか『これはどこそこのなんとかかんとか』ってなんか分かんない話が始まったのよ。で、しばらくしたら『ワインを水で割るなんてワインに対するボートクだ』とか、『まだまだ日本人はワインのことが分かってないなあ』ってバッカじゃないの?! アンタ、何人? どっからどう見てもジャパニーズじゃん。そもそも、そんなマズいワイン持ってくるなって話じゃない? みんなせいぜい缶ビールだよ、カッコつけてんじゃないわよって話じゃん。違う?」
 目の前に差し出されていたグラスにようやく気がついて、それを手にした彼女は一気に水を呷る。空になったグラスを勢いよくテーブルに叩きつけて、そして軽くため息をつくと、それまでの興奮など忘れたかのように落ち着いた表情を取り戻していた。
「っていうかさ・・・アタシ、分かんないんだけど」
 首をかしげて、
「ワインって水で割っちゃだめなの?」

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 「クドい」、「口の中が締まる」というキーワードから連想されるのは「タンニンが豊富」。水で薄めたくなった気持ちは分かります。
「でも、ワインってやっぱりそのまま飲むものなんでしょ?」
 という疑問はあると思います。しかし、「ワインを水で割る」ことが「ワインを分かっていない」というのならば、一般のフランス人女性たちはワインのことが分かっていないことになっちゃうんですが、それでもよろしいでしょうか?

 ワインを水で割る。
 これは、フランスやドイツなどで「ごく普通に行われている」ことなんです。元々、ワインの度数はどれほど高くなく、せいぜい15度前後。また前々回に書いたように「ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)」の場合はもっと低くて10度以下など当たりまえです。でも、割ります。ただし注意事項がひとつ。割るのはミネラルウォーターです。

 とある海外旅行のツアーコンダクターさんが本で書かれていたことを思い出しました。
 初心者のツアーを率いるとき、「あること」に関しては、どれだけ注意を促しても必ず一人はそれを聞き入れず、そのトラブルに遭ってしまう。挙句には会社に文句を言いに来る客がいて、ひどい場合には裁判沙汰にするぞとまで言われてとても困るという内容がありました。さて、それは何でしょうか。
 さくっと答えを出します。「生水は絶対に飲まないでください」。
 日本は、例えば「東京の水はマズくて飲めない」と言われていても、昨今のようにミネラルウォーターがよく売れるようになったのはつい最近のことです。登場は19世紀末頃からで、実際に家庭に広まったのは1984年夏、記録的な渇水のため、その前年から発売されていたハウス食品の『六甲のおいしい水』が爆発的に売れたのがきっかけとされています。それでもなお、日本では水道水が飲まれています。つまり、日本人は「水と安全はタダで手に入ると思っている」理由のひとつは、水が飲めるからです。
 ところが、日本以外の国ではこの常識は一挙に「非常識」へと変わります。そのまま飲むことのできる水というのは、ほんのわずかで、水というのは「そのままでは飲めない」のが常識なのです。貧困な国に安全な水(を供給できる機械とシステム)を支援する活動を、日本人はあまり重く見ていないように思えるのですが、実際には安全ではない水を飲んで死亡する人の数は後を絶ちません。それほどまでに「水」というのは「そのままでは飲めない」ものなのです。
 海外旅行の初心者が陥るのがこの「常識」。水は「そのままでは飲めない」もの。

 さて、前々回に「フランス人がワインを水のように飲む理由」として挙げたのが「一般家庭で飲まれている『ヴァン・ド・ターブル』は非常に安いものだから」でした。
 そして二つ目の理由がこの「常識」。
 「水はそのままで飲めるものではない」から。

 ヨーロッパのある国で、都心部に住んでいる人たちが毎日のように街の中央広場に設置されている、人工的な泉に集まっては水を汲んでいく様子を扱ったTVドキュメンタリーを見たことがあります。その様子を伝える特派員が「街の人たちは、この美味しい水をわざわざ汲みに来ています」というようなコメントを出していたのが気になりました。この「わざわざ」というのは現地にいる特派員は「手間だけれど、普通の水はマズいし安全性に問題があるので、仕方なく汲みに来ている」という意味を込めての発言だと思うのですが、日本で見ている人には「普通の水道水よりも美味しいので、手間がかかるけど汲みに来ている」と捉えられかねない。日本の水道局って、日本人が思っているよりもずっと優秀なんですよ?

 高級ワインは別としても、安物ワインは毎日のように水代わりに飲む。そして、いくら度数が低くてもアルコール飲料に代わりはないので、水(ミネラルウォーター、あるいは安全性の高い上水道水か井戸水)で割ることもある。芸術品うんぬん以前の問題として、水割りワインって生活の上での死活問題なんですが、何か問題でも?

 ついでにもうひとつ。
 バーにしろ、喫茶店にしろ、あるいは食堂にしろ、水が出てくるのが当たり前ですよね? でも、これも日本だけの常識なんですね。
 ヨーロッパに限らず、諸外国のレストランで水が飲みたかったら、水(ミネラルウォーター)を注文しなければなりません。その時にも、発泡性か非発泡性かを伝えなければなりません。外国語の会話本で、「レストランで注文するとき」などの項目で「水の頼み方」というのが載っていることに奇異と感じる日本人が多いのですが、それも「(安全な)水は(たやすくは)飲めない」という「常識」からすれば当然のことなのです。
 水は贅沢品。
 レストランでシャンパン、白ワイン、赤ワインを頼むのは、もちろん料理と合わせての作法でもあるのですが、日本では当然の「水を飲みながら」という食事法が考えられないほどの贅沢だからなのです。ヨーロッパで生活を始めたという主婦の人が書いた本(この手合いの本は意外と多い)の中で、「スーパーに行ってびっくりしたのが、ワインが驚くほど安いのに、水が驚くほど高い」とあるのもそんなワケ。
 
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 カクテルとの絡みも書きたかったのですが、「水」だけで長くなったので今回はこの辺りで。まあ、同じことを何度も何度も言っているだけなんですけどね。
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