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エセワイン通が嫌がるワインの飲み方(3)

Posted by 倖成卓志 on 05.2009 言いたい放題 2 comments 0 trackback
「ボージョレ・ヌーヴォー」という「お祭り」から数えると、前後約半年。一番取り上げるにふさわしくない時期だからこそ、書いておこうかな。

 「お祭り」については、毎年さんざん取り上げられてはいますが、一応初めての人のために解説を。
ボージョレ地区で造られるワインの販売は、毎年11月第2木曜日に解禁となります。今年収穫されたブドウをワインにしたものは、フランス語で「新しい」という意味の「nouveau」と呼び、このボージョレ地区で造られた新酒を「ボージョレ・ヌーヴォー」と表すのです。

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 発端はイギリスのブックメーカーとされています。ブックメーカーとは賭け事を扱う組織のことで、その発祥は競馬です。どの馬が勝つのかを予想し、勝ちそうな馬には低い倍率(低い配当)、勝てそうにない馬には高い倍率(高い配当)を与え、賭けをする人はそれを元に勝負に出るわけですね。やがて、自動車レースの優勝者や、サッカーのW杯優勝国などもその対象としていきます。で、たまたまボージョレのヌーヴォーの販売が11月15日に解禁される(1967年に制定。11月第3木曜日となるのは1984年から)と知った誰かさんが「これ、誰が一番早くロンドンまで持ってこれるか、賭けない?」と言ったんでしょうね。まだ交通機関が今ほどは発達していなかったので、車を持っているような金持ちが現地に飛び、解禁と同時に買い付けてイギリスまで直行。ロンドンの中心街で人々が今か今かと待ち受けている。やがて、瓶を左手で振り回しながら疾走してくる一台の車。上がる歓喜の声。「おおー、あれは○○伯爵だ! 今年の勝者は○○伯爵となりました!」という具合。

 おそらく、ヌーヴォー解禁の情報を得たどこかの日本人は当初、ただのイベントとして紹介するつもりだったのかも知れませんが、日本のとある特徴に気が付いたのでしょう。それは、日付変更線の位置付け上、先進国の中では日本が最も早く日が明けるという事実。つまり、日本は「世界で最も早く」販売できる国ということになります。これが「お祭り好き」な日本人に受けた。しかもバブル絶頂期で、「Japan as No.1」だの、「西洋社会から学ぶことはもう何もない」だのとゴーマンぶちかましてた時期。「日本が世界一早いんだ、世界一だぜ。ひゃっほーーい」。
 商社や販売店はこぞってこのワインを輸入し、木曜日0時になると同時に販売・開栓。中には成田空港でイベントを起こした商社もいて、人々が集まる中、これみよがしに運ばれてきたヌーヴォーを、カウントダウン、3、2、1、開栓、しゅっぽーん。「オレが世界で初めて飲んだぜ。欧米ども、うらやましいだろ。うっひょーい」。
 しかも、「エール・フランス航空で運ばれてきたものだけが本物だ」と言って、エール・フランス航空のラベルが貼られた貨物のものを手にして「これこそが本物のヌーボーだ、おっひょひょひょひょ」。
 しかし、バブル崩壊で不況へと転じて熱が冷めた。そもそも、「世界一早い」という以外のものをこのボージョレ・ヌーヴォーに感じていなかったので、冷静を通り越してむしろ侮蔑の対象へとランクダウン。
「ボージョレ? ああ、あんなのはバカ騒ぎが好きなだけで、ワインのことなんてなーんにも分かってない連中の飲み物さ」と変わってしまったわけです。おそらく10代~20代後半ぐらいの人は「今年のボージョレ・ヌーボーの解禁は11月○○日です」というニュースを聞いても何のことだかさっぱり分からないという人もいるのでは? もっとも、話題を探すのがヘタなマスコミは相変わらず「今年は今までにない最高の出来です」という醸造元や仲介業者のコメントを毎年そのまま流してますけどね。はて、毎年品質が向上しているとでも?

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 そもそも、最初に書いたようにヌーヴォーとは、その年に獲れたブドウから造られたワインのことで、市販されている一般のワインは獲れてから何年か寝かせておく(酒蔵や倉庫などに保管しておく)のが普通です。発酵作業を終えたばかりではまだ味は落ち着かず、香りにも複雑さがない、などの理由が挙げられます。量販店などでも、2009年4月の現時点において、2005年とか2007年ものを多く見かけるのはそんなわけ。

 ではこの新酒は何なのかというと、ひとつは販売時期を評価するため。2008年の新酒はこんな出来上がりになったので、あとどれほどの年数寝かせておいたほうがいいのか、あるいはほとんど寝かせずにすぐ出荷した方がいいのか判断するのです。
 そしてもうひとつ、こちらが本来の意味なのですが、今年も新酒が出来たという「祝い酒」。日本でも「杉玉」がありますね。今年の酒を仕込み始めたという合図で、酒屋の軒に杉で作った玉をぶら下げる。これが緑から茶色に色が変わる頃、酒も仕上がる。そうして出来た新酒を、集まった人たちと一緒に飲んで、踊って、歌って、とにかく騒いで今年も酒を飲めることを祝う。これは他の国でも同様で、今年もまた酒を飲めることを感謝しながら、周りの人たちと一緒に楽しむ。

 ところがこのヌーヴォー、特にボージョレ・ヌーヴォーの場合、あまりに「お祭り」で騒ぎすぎて、生産者はやめられなくなってしまった。何しろ、売れる、売れる。新酒なものだから、本来ならそんなに値段の付くようなものじゃないのに、ものすごく高値で買ってくれる不思議な人たちがいる(もちろんバブルな日本人たちのことですぜ、ダンナ)。今では750ml3000円程度なんて信じられないぐらい「安く」買えるけれど、当時は1万円ぐらいにしても買う人たちがいたのです。
「笑いがとまんねーよ。アホなジャポネども、1万円も出してやがんの。あれ、300円のワインだぜ」
 解禁日という決まった日に、いっきにお金が流れ込む。普通のワインならどんなに早くても翌年まで販売を見送るところを、ボージョレ・ヌーヴォーでは普通に収穫・除梗・破砕・搾汁・発酵・瓶詰などの工程を経ていては間に合わないから「マセラシオン・カルボニク法」なんていう独自の製法まで編み出したのです。これは炭酸ガスを充満させたタンクの中にブドウを入れて、数日放置した後に果汁だけを取り出して発酵させるというもの。簡単に言えば、ワインの赤い色をあっという間に抽出させてしまうのです。しかしブドウに含まれている成分、特に渋みなどは抽出されてこないので、色だけ付いた軽い赤ワインになってしまうわけです。本当にできたばかりのものがいきなり金になる。普通なら収穫から1年は待たなければならない入金が、3か月目には入ってくる。まあ、やめられませんわな。

 ちなみに現在、11月第3木曜日から1カ月ほど経つと、たいていは安売りしていますよね。理由は二つ。ひとつは売れ残り。まあ、これは分かりやすいですね。
 もうひとつは船便。実は解禁日のものは大抵航空便で来るため、船便よりも早く、それゆえに運賃も跳ね上がっているのです。だから、熱が冷めてもヌーヴォーは飲んでおきたいという人で、この船便の安値狙いの人もいるのです。まあ、それでも踊らされていることに変わりはないんでしょうけどね。

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 さて、ボージョレ・ヌーヴォーの評価は非常に低い。
 理由のひとつは、特に日本において、不況になったことと、イベントに飽きたということ。
 また別の理由として、1995年に起きた出来事も関わっています。フランスのジャック・シラク大統領(当時)が南太平洋のムルロア環礁で数回の核実験を行ったため、地下核実験を行っていた中国を除く世界中からの批判を浴び、フランス製品の非買運動が広がりました。このため、フランス・ワインの輸入も激減し、ボージョレ・ヌーヴォーの姿もあまり見かけなくなりました。

 しかし、実はもっと根深いのです。そもそもボージョレがブルゴーニュ地区にあると知って驚く人もいるぐらい。
 フランスのワインの二大産地といえば、ボルドーとブルゴーニュ。この二つの地域の大きな違いに、ブドウの使い方があります。ボルドーは多種のブドウを混醸させるのに対し、ブルゴーニュでは一般に、赤ならピノ・ノワール、白ならシャルドネと、単一品種しか使いません。
 ところがボージョレ地区で使われているブドウはガメイ種。上記のことを先に知っていると、「え、ブルゴーニュなのにピノじゃないのっ?!」(ピノ・ノワールを単に「ピノ」と言うとちょっと通な感じ)ブルゴーニュ地区なのにピノ・ノワールじゃない。もうそれだけで格下の扱い。
 なにしろ、1395年にフィリップ2世(ブルゴーニュ豪胆公)が「不実である」という理由でガメイを引き抜かせたといいます。不実とは、不誠実で節操がないということで、ガメイのどこに節操がないのかというと「どこにでも生えるから」。一方のピノ・ノワールのみを赤ワインのブドウ品種として認可し、ガメイを使った者に重い罰則を課したのです。こうして、事実上追い払われたガメイは、わずかにボージョレ地区にひっそりと生き残ることになるのです。他にガメイが使われているのはロワール地域の一部と、スイスのジュネーヴの辺りのみで、ボージョレが全世界の半数を占めているとされています。超ローカル銘柄になってしまったわけです。

 その上に、ヌーヴォーという「お祭り」騒ぎが起きて、しかもすでに祭りの後。おかげで、他のクリュ・ボージョレやボージョレ・ヴィラージュと呼ばれる高品質のワインまでもが「どうせガメイなんていう、ろくでもないブドウを使ってるし、今更ヌーボーもないよな」ってな具合に、巻き添えで評価どん底。

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 ひとつだけ出すとしますか。

Beaujolais NOUVEAU rose(Georges Dubceuf)

Beaujolais NOUVEAU rosè 2008 Georges Dubœuf
【ボージョレ・ヌーヴォー・ロゼ 2008 ジョルジュ・デュブッフ】


Beaujolais NOUVEAU rose(Georges Dubceuf)(label)

 デュブッフは、相変わらず(そしてこれからも永遠に?)評価の低いボージョレにあって、優れたワインを造る醸造家です。エチケット(ワインのラベル)にはいつも花が描かれていることから、「フラワー・ボトル」と呼ばれています。
 日本にもたびたび来ているので、実際にお目にかかった人も多いのでは。もっとも、この人もヌーヴォー・バブルの協力者なんですけどね。

 ロゼとは何かというと、大まかには「赤ワイン+白ワイン」でうまく配合し、色をその名の通り薔薇色としたものです。もっとも、これはロゼの製法でも初歩の技で、現在ではいろいろな方法で色を造りだしているので、一概には言えません。デュブッフがどの製法を使っているのか分からなかったので、ここでは「ロゼも造っている」という程度にとどめておきます。

 正直、ロゼでこの質でこの値段なら安いとは思えません。
 ロゼ・ワインは世界規模で、驚くほど早い勢いで品質が向上しているので、「ロゼは色がキレイなだけ」とか「ロゼってなんだか甘ったるい」というイメージはもう古い。もっとも、新酒でロゼならこれでもいいんじゃないか、とそれぐらいの評価はできます。赤ほど渋みはないし、白ほど淡泊すぎはしない。新酒独特の果実味はあるし、何より淡い色もよろしい。ちょっと軽すぎて物足りないけど、話題のひとつとして花見に持って行くならいいかも知れませんね。
「ボージョレのヌーヴォーにもロゼってあるんだよ」という感じで。
 ワインって飲んだことないけど何となくイメージ的に難しそう、なんて偏見を持っている人へのスタート地点なら、ここからでもいいかも。

 ちなみに楽天にもあるけど、ちょっと値が張るので紹介なし。欲しかったら足を使って捜しまわろう。それもまた、良いお酒の見つけ方。


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倖城さん、お久しぶりです(^^)
やっと退院しました~!
ブログもまた更新していきますので、宜しくお願いします(^^)/
2009.04.05 21:04 | URL | nao. #- [edit]
おかえりなさい。待ってました。これからもnao.さんはじめ、いろんな方の参考になるようなものを書いたり、いろんなお酒を紹介したいと思いますので、またよろしくお願いします。
2009.04.05 21:56 | URL | 倖成 #iqhSIKS2 [edit]


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