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Beer - その12 銀河高原の夜

Posted by 倖成卓志 on 13.2009 享楽のビール 0 comments 0 trackback
 日本の大手ビール会社が「ピルスナー」一辺倒であるがゆえに、それ以外の小さなところは同じことをしても生き残れないわけで。
 かと言って、あまりに馴染みのないものばかり造っても、「なにそれ?」と思われて売れないということにも。
 だから、見知らぬメーカーの、聞いたことがあるような気もする微妙なネーミングのビールに、見慣れない言葉まで書かれてあると、「これって本当にウマイのか」どうかってすごく迷いません?
 そんな中からひとつ。

銀河高原ビール 小麦のビール

銀河高原ビール 小麦のビール

銀河高原ビール 小麦のビール2

製造元:東日本沢内総合開発株式会社
度数:5度

 日本の大企業で造られているビールの大半は「ピルスナー・タイプ」と呼ばれるものです。大麦麦芽、酵母、水、ホップを使い、下面発酵方式で造られるものです。メーカーやブランドによっては、米やコン・スターチなどを副材料に使うこともあります。
 これまでにもビールのことを書いた時に、何の断りもなく単に「麦芽」とか「麦」と表記している場合には、そのほとんどが「大麦麦芽」と「大麦」のことです。たまにライ麦や小麦が含まれる時にはきちんと別表記していますが、「大麦」が当たり前すぎてついつい省略しています。言い訳するようですが、実はれっきとした本でもこういう省略が起きている場合があって、それほどまでにビールが「大麦麦芽」と「大麦」で造られるのが日本では当たり前のような現象になってしまっているようですね。

 「小麦のビール」はその名の通り、小麦麦芽が使われています。
 小麦麦芽が55%、大麦麦芽が45%。あとは酵母と水とホップだけ。
 小麦麦芽を使って造るビールは、weizen 【ヴァイツェン】と分類されます。これはドイツ語でそのまま「小麦」という意味です。銀河高原ビールでは、この「小麦のビール」以外にも「ヴァイツェン」と「ペール・エール」とがあります。あいにくと今回は「小麦のビール」しか入手できませんでした。

 ビールの色が濁っているのは気のせいじゃありません。むしろこれが特徴なのです。「hefe weizen 【ヘーフェ・ヴァイツェン】」、つまり「酵母入り小麦ビール」だからです。無濾過です。

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 甘くて柔らかい。

 この一言ですべてです。
 ビールというと力強く、苦い印象があるかと思いますが(ビール風アルコール飲料とか発泡酒は省きますよ)、「ふわり」という言葉がぴったり。泡はわたがしのようにふわふわしていて、口当たりが優しく、ビール自体に関しては、コクは弱いけど、優しく包み込んでくれるような柔らかさがあります。「ヴァイツェン」はドイツでは「貴族のビール」という言い方もあって、品の高さがウリとなっているのですが、ただ上品なだけではなく、芯の強さを感じられる華やかさ。「小麦のビール」は日本人向けにアレンジしたものらしいのですが、強くもあり優しくもあるこの味わいはきっと広く好まれるでしょう。
 ガッツリ飲む、というより、ゆったりと酔いしれる。そんなひととき。

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 無濾過と書きました。

 普通は材料を発酵させ、熟成させた後に濾過します。主な目的は酵母を取り除くことです。酵母がいつまでも居残っていると、発酵が進みすぎてしまいます。それはやがて腐敗につながってしまうのです。除去することによって、ビールを長持ちさせることができます。品質のばらつきも防ぐことができます。また、色に透明感が出て、見た目も美しくなるからです。
 しかし、濾過するということは余計な成分を取り除くということ。しかし「余計」というのは濾過手順での勝手な分類で、味わいや香りの元となる成分も多いのです。だから、無濾過の場合は賞味期限が非常に短くなり、品質に多少のばら付きが出る代わりに、本来の「出来たて」の味が堪能できるのです。ビール会社を訪問して、出来立てのビールというものを初めて口にした人が「ビールってこんな味だったのか!」と感嘆してしまうことがあるのはそういうワケ。

 ところが、世の中は広くて。
 ビールというと、ベルギー。というのも、いわゆる大企業だけではなく、それこそ「おらが村」のビール、「おらの家でこさえた」ビールがたくさんたくさんあるのです。そして、ここらで造られる無濾過タイプのビールの、決定的な特徴のひとつに「瓶内発酵が当たり前」というのがあるのです。酵母が発酵し続けようが、それで味が変わろうが知ったことじゃないという、他の国では理解しがたい状況が普通に行われているのです。ところが、その味が変わるというのがまた受けた。
 要するに、日本の無濾過タイプにある「賞味期限」は、「味が変化してしまうおそれがある」から付けられているのです。しかし、ベルギーのそれは「味が変化するのは当たり前」なので、実は賞味期限という考え方すらないのです。一応、他の国が輸入した場合にはそれぞれの国の法律で定められた賞味期限がくっ付くのですが、ベルギー・ビールの愛飲家の中にはわざと賞味期限を超えさせて、その変化を楽しむ人もいるようです。

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 さて、もう少しだけ続けます。
 この「銀河高原ビール」。実に苦労しています。
 1969年、中村功という人が岩手県盛岡市に『東日本ハウス』という住宅メーカーを設立します。その彼が1996年に、岩手県和賀郡沢内村(現・西和賀町)の村おこし事業としてビール事業を始めることを決断しました。これは、この地方が豪雪地帯であることが逆に水の豊かさと清らかさをもたらしてくれること、そしてドイツ・バイエルンに気候が似ているのも理由だったようです(バイエルンといえば避暑地とスキーのメッカとしても知られてますね)。最終的に参考にしたのが、バイエルンのミュンヘンにあるアウグスティナー醸造所というのも、何か不思議な縁なのかも知れませんね。
 ちょうど、宮沢賢治生誕100周年の年でもあったことから、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にちなんだようで、『銀河高原ビール株式会社』と名付けます。
 公式には、銀河高原ビールの名の意味は「奥深い山に連なる高原に湧き出る名水に命を授かり、夜空の星達のように煌く個性。銀河とは「夢とロマン」を、高原とは「天然の名水」を表します」となっています。

 しかし、5年後の2001年には高山と阿蘇の2つの工場を閉鎖し、那須工場とOEMの併存体制となります。
(OEMというのは「Original Equipment Manufacturing」で「相手先ブランド製造」。自社で作った製品を、他社の名前で販売することを言います。主な目的(利点)は、ネームバリューが高い他社に依存して販売を増やせるということ。零細のA社が作った製品を、大企業のB社の名前で売るということで、これは製造業ではよくあることです)
 翌2002年。社名を『高原販売株式会社』とします。これを再び『銀河高原ビール株式会社』という名前にしてやりなおしますが、2005年には現在の『東日本沢内総合開発株式会社』に身売りします。
 最後に残されていた那須工場と、そこにあった那須ビール園は2006年にサッポロ・ビールが見受けしました。

 もっとも、中内功という方は「攻め」の姿勢が強いというか、本業の『東日本ハウス』は一千億円企業にまでのしあげつつも、本業以外の政治活動や映画にも手を出したりしては失敗しているので(政治活動は縮小、映画は撤退)、ビール製造もややバクチ打ち的な感じだったのかも知れません。
 そういう部分があるにしても、日本に「ヴァイツェン」の可能性を見出すきっかけを作りだしてくれたことについては、ビール愛飲者にとっては嬉しい限りですね。

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 さて、ビール区切りまでとりあえずあと3種類。ややこしい事件が起きた2つと、夏よりも秋から冬に飲むビールをひとつといったところ。
 本当に、今年はビール尽くしだなぁ。







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